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【steins; gate】
steins; gate


↑未プレイの方はコメント非表示絶対です。

メーカー5pb. × Nitro+
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■■ 10
構成力■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

SFアドベンチャーの歴史的傑作

こんなにも惹きつけられたゲームは久しぶりです。本当に本当に、本っ当ーーーに、面白かったです!! いや、面白いというよりは「凄い」作品でした。終わった後の余韻がいつまでも残るのは名作の証ですね。正直、「シュタゲ買ってプレイするべきだろ常考」と発売日の自分にDメールを送りたい。

当サイトはエロゲレビューサイトですので、非18禁ゲームは基本載せない方針だったのですが、あまりにも面白かったので紹介したくてですね、気持ちとしてはエキストラ的な位置づけとして掲載をします。どちらかというと「感想」といった立場でライトに書かせてもらいますね。


……と思っていたら超絶長くなってしまいました笑。 暇でお好きな人はどうぞ。


【シナリオ】
舞台は電気と萌えの街、秋葉原。自身を「鳳凰院凶真」を名乗り厨二病からいまだ抜け出せない主人公岡部倫太郎は東京電機大学の一年生。彼は、幼馴染の椎名まゆり、同級生の橋田至とともに「未来ガジェット研究所」なる機器発明サークルを秋葉原の某ビルに間借りして運営しています。

ある日、単位取得のために訪れた講義にて、若干18歳で科学雑誌「サイエンス」に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会います。しかし岡部の脳裏にあるのは、以前同じ講演で何者かに刺され血溜まりに倒れている彼女を発見したという記憶。目の前で紅莉栖が紛れもなく生きている一方、それも決して見間違いなどではなく、すべてが実感を伴って記憶している事実に呆然とする岡部。さらに、その際橋田に送った紅莉栖刺殺の衝撃を綴った携帯メールが、何故か遡ること一週間前、すでに橋田へと着信していたことがわかります。

やがてラボメンバーと紅莉栖は、サークル内で発明した、携帯電話と直結した遠隔操作用電子レンジが原因であることを突き止めます。携帯電話を介して過去へとデータを飛ばしてしまうこの機械は紛れもない「タイムマシン」であり、人類史上初の快挙に浮かれる岡部と困惑する紅莉栖。いくつもの理論と人物と偶然の交錯を経て、タイムリープを検証していく未来ガジェット研究所のメンバーたち。しかしそれはやがて彼らの悲劇を誘引する世界規模での事態へと発展していきます。



と、僕なりにあらすじを書いてみましたが。。。ん~~!あらすじだけでもワクワクします!! やっぱり時間移動SFものはたまらないロマンがありますね。大枠の設定は、SFの大定番となる散々使い古されたタイムトラベルものであり、その設定自体に目新しさは全くありません。ですが個人的には使い古されていようがなんだろうが好きなジャンルですし、なによりそういう王道に乗ったうえでその王道を最高レベルまで昇華しただけのものがこの作品にはあります。 未プレイの方には是非プレイをして頂きたいですね。

シナリオは全11章と、各章で区切られてはいますが、次への大きな伏線や話のダイナミックな展開を章の終わりにもってきます。持ち上げて期待させては落とし絶望させる起伏のつけ方も素晴らしく、止めどころが見つけられず一気にプレイしてしまうシナリオの組み立て方は見事でした。


もう少し突っ込んで書いていきます。タイムリープに関して。この物語の凄い点のひとつに、タイムリープをファンタジーとして扱わなかった点があります。タイムトラベルものは通常、「そういうもの」としてストーリーは進められていきますし、タイムリープの仕組みそのものよりも、それを行うことで生まれるドラマに主眼が置かれますよね。

しかし本作、実在する物理学上の多くの仮説や研究機関を駆使しながら設定を固めている点が本当に素晴らしいと思います。特に、かつて実在(?)した『ジョン・タイター』のエピソードを基幹にして組み立てているシナリオ構造は興奮しますね。ジョン・タイターに関しては是非wikiで調べてみてください。

そりゃテーマがテーマですので細かい矛盾点はありますし、ガチンコで物理学を勉強している人から見たら無理のある解釈も多々あるのかもしれませんが、少なくとも未学習~にわかな層を唸らせるだけの説明はできていると思います。僕は科学者でも何でもありませんので、最高に楽しめました。

もちろん多くの作られた前提設定に助けられている部分も多々あります。とはいえこの前人未到の領域内で、実に多くの理論を紹介しつつ、タイムリープの仕組みや時間移動による世界改変に対して一定の論理を展開し切っているところは本当に恐れ入ります。さらにアキバにある有名な各施設を舞台として「秋葉原の今」を切り取ることで、リアリティは必然的に高くなり、作品の格を底上げしています。



そして本作、ヒューマンドラマとしても非常によくできている点を賞賛したいです。設定とシナリオを見事に両輪であわせもつこのバランス感こそが本作の魅力なのでしょうね。ワクワクさせる展開だとは思っていましたが、中盤における各サブヒロインの章や終盤で、泣ける展開を存分に入れこんでくるシナリオだとは正直思っていませんでした。

通常、過去への送信メール、通称Dメールにより「世界の史実が改変されると、別の世界線に移り、人々の記憶も事実も再構成される」という世界の仕組みの中で、オカリンのみが世界線を越えても何故か記憶を完全に継承し続けるという主人公設定が実にうまく効いています。今いる世界、α世界線のままではどうしても殺されてしまう運命にあるまゆりを救うために、オカリンは次々とタイムリープを重ね、一番最初の世界線であったβ世界線へと確変を行って行くのですが、すなわちそれは周囲のサブヒロインたちがこのα世界で心に刻んだ想い出や願った事実を「なかった」ことにしていくことと同義なんですね。このビターな対比は実に美しくまた切なく、それらの想いをただひとり背負い続け、耐えながら延々と世界線を移動していくオカリンの痛切な心の書き込みは素晴らしいです。



さて、長くなってしまうのを承知で、各ヒロインの章について感想的に書かせてください。

未来ガジェット研究所のメンバーとして次々と仲間を増やしていくオカリンたち。それぞれのヒロインメンバーにはそれぞれの抱える想いや背景があります。

ラボの下の階に店を構えるブラウン管テレビ専門店のバイト阿万音鈴羽。メインヒロイン以外では最も心を揺さぶる章だと思います。彼女はオカリンたちが今いるα世界線の未来から、望まない未来を変えるためにやってきたタイムトラベラーです。その鍵となる「IBN5100」というレトロPCをめぐってのシナリオ展開ですが、実は父親であったダルとの邂逅や、ラボメンバーとの時間作りなど、殺伐とした使命を負っている彼女の束の間のよりどころを無かったことにせざるを得ないオカリンの葛藤の描き込みは見事。

それは、父親と無事会えてラボメンバーと仲良くなる前にその世界線を鈴羽が離れていなければ、PC取得が失敗に終わり、失意のもと自殺をしてしまうというなんとも救われない展開であり、その悔恨で綴られた悲痛な手紙が彼らのもとに送られてくる世界線におけるエピソードは本当に胸が締め付けられるものがありました。


猫耳メイド喫茶の看板店員であるフェイリス。彼女はDメールを活用して父親の死を回避しています。そしてそれを元に戻す、つまり父親の死をあったことにするシナリオです。記憶は再構成されるために父親が生きていたという事実はもちろん無かった事にされるのですが、それだけの史実を作り替える罪の重さとフェイリスへの同情にオカリンが思い悩むこれまた胸が締め付けられる展開でした。そしてこのシナリオ構成は、柳林神社の一人"息子"、漆原るかの章にも使われていますね。どう考えても「男の娘」な自分にコンプレックスを持っていて、Dメールを用いて実際に女の子になっている彼女、いや、彼、いや、彼女。 女の子であるがゆえに素直にオカリンを想うことの出来る気持ちを否定し男に戻す行為に葛藤する様がやはり丁寧に書かれていましたね。展開はトンデモなのに感動してしまうのは何だろう……。

上記3人個別ENDが用意されていまして、要はオカリンが彼女たちの事実を「消さない」決意をすると個別ENDになります。しかしそれはどれも結局まゆり死亡の解決にはなっておらず、BAD ENDと呼んでも差し支えないものでした。どれも凄く綺麗に丁寧に書きこまれていましたけどね。

次章は、桐生萌郁の章になりますが、これはむしろ欧州原子核研究機構、通称SERNの面々の章となりますかね。萌郁には特に個別EDが用意されてはいませんが、SERNの一味でまゆりを躊躇なく殺す役割を担っていた萌郁の背景に強く焦点のあたる展開でした。また、章の後半でわかるラボの大家であるブラウン管販売店の店長がSERNの手先だったという設定や、店長の娘が、未来からタイムリープをして死んだ父親の復讐をしに来る展開は驚愕の連続で、話が派手に動く印象的なルートであったと思います。


そしてオカリンの幼馴染にして最大の理解者である椎名まゆり。この物語最大の目的は「まゆりの死の回避」ですし一見メインヒロインなのですが、準ヒロイン的な位置づけになるかな。メインヒロインは、天才少女牧瀬紅莉栖ですね。

このまゆりルートと紅莉栖ルートは同一テーマになります。α世界線ではまゆりが、そしてβ世界線では紅莉栖が、それぞれ死んでしまうわけなのですが、この究極の選択を前にしてオカリンが強烈に悩み、そして紅莉栖に背中を押される展開が共通していますね。結局はどちらのルートもβ世界線に移動することを選択するため紅莉栖は死んでしまうのですが、そこへの紅莉栖の絡ませ方と描き方が少し違いますね。まゆりルートの、紅莉栖が死んだβ世界線でのふたりの会話も秀逸ですし、一方の紅莉栖ルートでの、タイムリープの瞬間に彼女がオカリンに思いを告げに戻ってくる中、そのままタイムリープを実行するシーンも儚くて良いです。

僕はここの構成展開、つまりオカリンの行動は凄く評価していて、これまでずっと他ヒロインの想いを踏みにじり続けてきた「まゆりを救う」という信念を最後まで貫き通すのですね。たとえそれが愛してしまった少女の死につながるとしてもです。ゆえに、β世界線へ移動する時のオカリンの厨二病丸出しの最終演説は狂おしいほどに痛い。刺さる。ここは、他のキャラがポカーンとしている中、わざとあのダサい台詞を必死に紡いでいるところが本当に泣けるんだよなぁ。

努力と執念の果てに、元のβ世界線に戻る愛してしまった紅莉栖の死を確定させる、というドラマチックな展開は素晴らしすぎますよね。さらにここで物語が終結すると見せかけてエンドロール途中から最終章が始まるのもいい演出ですね。最終章の出来はここまで積み上げてきたすべての伏線や想いを継承しきったものに仕上がっています。

β世界線の未来からダルが完成させたタイムマシンでやってくる鈴羽にはテンション上がりました。しかし、戻り着いたβ世界戦であっても悲劇の結末しか待ってなかったという展開には、「嘘だと言ってよ、バーニィ!!」と思わず叫びました。

そしてβ世界線における15年後の自分から受け取るあまりにも熱いDメール、αでもβでもない新たな世界線「シュタインズゲート」に到達するために、世界を騙し紅莉栖を死から回避させるラスト。もう鳳凰院凶真を心の底から応援しましたよ……! なんという激熱の展開なのでしょうか。


ラストシーンも非常に沁みましたね。当然別世界線での彼女は、α世界線での記憶を持っていないわけですが、α世界線で交わしていたオカリンとの会話が、手のひらにわずかに残った雫のごとくふと口をついてこぼれ落ちる再会のシーンは、心震える本作最大の泣き所ではないでしょうか。アカン、今書きながら涙腺が

最後は「本当に良かった」「無駄なことなど何ひとつなかったんだ」と、切なくも清々しい気持ちで終えることができるかと思います。積み重ねてきた激しい展開の果てにある一雫の"奇跡"を丁寧に描き、静かに物語を閉じる様は、わかりやすい泣きゲーというよりも、心の深いところに染み入る感動といった、非常に質の高い愛おしいラストです。

ドンデン返しに次ぐドンデン返し、胸に迫るオカリンの執念とキャラたちの抱える強い想い、ロマン溢れる切り込んだサイエンスフィクション設定、叫びだしたくなるほどの熱い展開……

いや、もう是非! 是非!! プレイをして下さい!!
それがシュタインズ・ゲートの選択ですっ!



【グラフィック】
最近人気のhukeさんです。無機質な瞳、陶器のような質感、黒と蛍光色を利かせたダウナーでサイケな塗りで存在を主張する独特の絵師さんです。良くも悪くも一目見てこの方の絵だということがわかります。好みはハッキリ分かれそうですけどね。ただ、ビターな展開の多い本作には、萌え系の絵よりもガッチリはまったと思います。

ですからCGはキャラを描くというよりはストーリー上必要になる構図に則って描いたものが多く、個人的にはこういう方が好きですね。そしてTRUEルート最後の一枚絵! シーンの良さもありますが、こんな切ない表情の絵も描けるんですね、鳥肌が止まりませんでした。

システムが実はちょいとばかしイマイチです。フルスクリーン化しないと画面全体ががたついたり、スキップ機能が使えなかったりします。ま、シナリオが良いのであまり気にはなりませんでしたが。

それから用語解説メニューは良かったかな。親切なことに物理学や2ch用語など彼らの発するヲタク発言ひとつひとつに別途解説を設けるのは親切ですし、一般ユーザーも狙った作りでもありますね。逆に言うと、用語解説を設けることで、シナリオ内に無理な説明を入れないで物語が展開していくので非常に読みやすいです。且つ、用語解説があることを前提にして、一般ユーザー向けではないネットスラングなんかもダル君や紅莉栖さん(笑)の口からバンバン出てきますのでいちいち笑ってしまいます。非常に良いテンポが生み出されていますね。


【キャラクター】
非18禁でもありますし、絵柄も「萌え」といったものではない、シナリオも硬派なSFと、幅広い層にアタックする作りになっていながらも、キャラクターには、厨二病、デブヲタ、2ちゃんねらー、男の娘、コスプレ好き、メイド喫茶店員……とアキバ要素全開のキャラばかりです笑。

21世紀初頭のヲタク文化をモロに形取るキャラ設定は、「鮮度」という意味では難ありで、例えば5年後10年後にプレイすると古い作品になっているかもしれませんが、だから故に時代を象徴させる意味でタイムリープものという作品をよく立てていたともいえます。改変により、秋葉原が現在のアキバとは全く違う町様相になってしまうルートがありますが、この異質さは上記キャラ設定が効いているからこそ生きているわけですね。

主人公は岡部倫太郎、最高です。混沌をもたらす狂気のマッドサイエンティスト(笑)を高らかにうたいながら、実際のタイムリープにおいて彼はそういった独善的な存在になりきれないんですね。ひとりの人間として様々なことに葛藤し苦しむ様は非常に痛々しく、またもがきながらも懸命に最善の未来を掴んでいく行動には熱くさせられます。そしてシリアスモードの宮野真守さん演技が最高にうまいですね。要所要所で後悔に暮れる場面や、元の世界線に戻る時の勝利宣言シーン、ラストで紅莉栖を思う言葉など、もう終盤の彼の演技は突き抜けすぎています。

ただ、時折携帯に話しかけるのも何かしらの伏線なんじゃないかと思っていたのは勘繰りすぎでしたか。そこらへんはただの痛い奴だったんですね笑。

ヒロイン勢も全員すばらしいです。中でも圧倒的なのはやはりメインヒロイン牧瀬紅莉栖。ツンデレな天才少女ながら重度の2ちゃんねらーという設定も実に新しい。メンバー間のブレーン役としても、そしてツンデレメインヒロインとしても、めちゃくちゃにかわいく描けています。メインを張るヒロインでここまで魅力的なのも珍しいですね。彼女は超キレ者ですので、どの世界線でもオカリンの置かれている状況を柔軟に察知して、常に力になってくれるんですね。そういった、なんというかな、主人公の彼女というよりも、主人公の相棒、という位置づけなのが素晴らしく映えていました。

次に好きだったのは、絶望的な未来を変えるためにやってきたタイムトラベラー阿万音鈴羽。正直、常識はずれなヲタキャラたちの中では、唯一あけすけなノリで気持ちいい奴だったのが好感持てます。考えといい行動といい、非常にかっこいいですこの子は。ビンテージジャージを着ているのも何か好き。

そしてオカリンの右腕にしてスーパーハカーの変態紳士、ダルこと橋田至。こういうピースとして欠かせない友人キャラは嬉しい限りです。シナリオでもギャグでも遺憾なく存在感を発揮する彼、タイムマシン開発にも、舞台となる世界線の未来における重要度も、そして何よりも超キーパーソンである鈴羽の父親という設定も、何から何までやってくれましたねえ。

他、すべての登場人物がシナリオ上マストな存在として描かれます。無駄な人間がひとりも出てこない。正直もう2,3人いても良かったかな?と思わないでもないですが、これはこれで絶妙なキャラバランスで描かれています。


【音楽】
BGMは比較的無難な印象ですね。メイン画面の「GATE OF STEINER」、泣かせどころの「Believe me」が印象的ですね。そしてニトロ系は常にそうですが、歌曲が 抜けています。特にOP曲「スカイクラッドの観測」「A.R.」の高揚感は特筆すべきものがありますね。ED曲「Another Heaven」もプレイを思い出してグッときますねえ。



以上、「steins; gate」です。ちょっとメモ程度に書くつもりが結局こんなに長くなってしまいました。やっぱり思い入れが強くなるとどうしても長くなってしまうなあ。

さて……、願わくばなるべく多くの方がこのゲームに触れてくれることを。そして、物語の果てに迎える静かで穏やかな感動がその胸に刻まれることを。

エル・プサイ・コングルゥ!

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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【大悪司】
大悪司



メーカーALICE SOFT
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■□ 9.5
睡眠不足■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

大熱中祭

僕のエロゲ人生の中で、最長プレイ時間を誇るエロゲです。はじめてプレイしたのは大学生の夏頃で、当時は連日徹夜徹夜徹夜徹夜徹夜……。なんともったいないことをしていたのでしょう……と言うとでも思いましたか?? 充実した日々でした笑。

やりこんでもやりこんでもコンプリートが見えないボリューム感。鬼畜王ランスのシステム系譜を受け継ぎつつも、ランスシリーズではなく完全オリジナルとしてリリースされた本作、奇抜な設定にシナリオ、魅力を持った主人公とクセのあるキャラクターたち、そして何よりもやり込み要素の深すぎるゲームシステムと、当サイトにて神作品の評価を与えるにふさわしい作品です。


【シナリオ】
架空の世界、男性上位国家であるニホンが、女性絶対主義であるウィミィとの太平洋戦争に敗れるところから物語は始まります。南地への出征にてニホンを離れていた極道「わかめ組」の若頭山本悪司は、戦争の終結とともに故郷オオサカへ帰郷しますが、そこで待っていたのは、ウィミィ女性優位の思想のもと、女性幹部に乗っ取られた組の現状でした。組に居場所は既になく追い出されてしまう悪司ですが、弱小の地域奉仕青年団を手始めにのっとり影番を務めると共に、わかめ組の奪還、そして先にあるオオサカ制圧に乗り出します。


……という非常に面白い設定を持っていますね。

最初は、市会に賄賂を送り犯罪行為を黙認させることで、敵対するわかめ組との抗争を始めるところからスタートしますが、その後も別勢力が次々と台頭してきて、抗争の日々に明け暮れることとなります。どういった動きを取るかによってストーリーや各キャラの行動は様々な形に分岐し、最初の抗争相手であるわかめ組ひとつとっても、比較的穏便に悪司の下にくだる流れもあれば、女性幹部が軒並み不幸な目に合い四国からの助っ人であった狂人に組を乗っ取られる流れもあります。行動によっては、メインヒロインの一角であるわかめ組所属、加賀元子ですらも死亡してしまいますし、様々なキャラの境遇が悪司の指示、行動次第で変わっていくさまは、何周ものプレイ地獄を確実なものとします笑。


地域制圧シミュレーションではありますが、シナリオはしっかりしており、百人以上にも渡るユニークユニットの多彩さに比例して、イベント数も本当に豊富です。

ヒロインは6人いまして、マルチエンド形式を取ります。ひとりは中華料理屋「水陸両用」で働く白民華。悪司の想い人であり、ヒロインの中で唯一カタギの世界に生きている女の子になります。ゆえに、彼女と結婚すると売春宿が開けなくなり、資金繰りがしんどいことになるのが厳しく、ゲーム的にもつまらなくなってしまいますね。アクの強い悪人だらけの本作にとって、非常に存在感の薄いキャラであり、ヒロインの中でも位置づけとしてはメイン格なのでしょうが、ほとんど印象に残らない薄幸のヒロインかと思います。ちなみに水陸両用には民華の友人として見当かなみを仲間に出来るため、かなり上がりますた(しかもランスシリーズに反して、強いw)。

悪司の幼なじみであるわかめ組の加賀元子、僕は彼女が殺ちゃんの次に好きです。彼女はシナリオの展開上、輪姦されてしまいます。気丈で力強い彼女がそのトラウマを抱えながらも悪司に寄り添う構図はたまらないものがあります。単純な萌えではない、複雑な事情の上に成り立つ萌えはなんともいえない愛着を沸かせますね。エピローグは清々しいもので、救いがあり良かったです。

戦犯として軟禁状態にあるニホン軍の乃木大将の孫娘、乃木喜久子。祖父同様、広い視点と気丈な居振る舞いで悪司を惹きつけていきます。特にこれといった山もありませんが、乃木家に通い、大将と親睦を深め、大将の戦犯処刑や結婚などを経て、エピローグは幸せな家庭を築くといった比較的温かなシナリオです。

ウィミィ日本支部の空軍士官、プリシラ・ヴァドル。戦時中に悪司に抱かれ、彼のことを忘れられないで入るツンデレ。彼女とのエンディングはハードボイルドしていていい感じです。

イタメシ屋で働いているイタリアンマフィアのアンリ・ペロリ。民華ルートクリア以降に、民華、ペロリを選択することで水陸両用の代わりに彼女のルートに入ることが出来ます。悪司の恋人や、料理店の従業員という設定など、民華の裏ルートといった位置づけでしょうか。その正体は悪魔で、人間界のみならず魔界制覇に乗り出すエピローグです。ちょっと蛇足感ありますかね。

そして最後に人間凶器、岳画殺。年の程は中学生くらいなのでしょうが、祖父山本一発の娘であるため、親等的には悪司の義理の叔母にあたります。小さく可愛らしい外見ながらも、ロケットランチャーを用いたゲーム内屈指の攻撃力と年齢不相応な冷静さなどから、アリスソフトが生み出した名キャラクターとして非常に高い人気を誇ります。もちろん僕も大好きなキャラです。


まぁ、こういった作品でのシナリオは、よくあるエロゲのように読み込む物語というよりはゲーム全体の中のいちパーツとしてうまく機能しているイメージです。各イベントでのテキスト量はそう多いものではありませんが、アリスソフトならではな超秀逸なゲームシステムを活かすためのバランスのよいシナリオですね。ひとつひとつのイベントは、濃いキャラをベースにした笑いありほろりとした感動ありの粒ぞろいです。



【グラフィック】
システムが肝なのですが、せっかくなので詳細に書いておきましょう。

ゲームシステムは非常に秀逸です。ターン制になっていまして、まず参謀役の島本から管理地域の情報、活動報告があります。次に地域フェーズ、これはマップ上でのイベントフェーズになりますね、一番の肝の部分です。各地域で起こっているイベントを選択実行することで、そのイベントを進行させます。地域自体で起こっているイベントもあれば、特定のキャラを特定の地域に配置させることにより発生するイベントもあります。それは、シナリオの流れを決定づける重要なものや、仲間を増やすもの、どうでもいいものまで万別です。考えながらイベントを選択することになりますね。


次に部下フェーズ、ここでは仲間のパラメータを上げたり女性キャラをこましたり(やったり)できます。仲間は、バトルの際に重要になる戦闘能力や、配置されている地域を治める統治力はもちろんのこと、男ならば忠誠心、女ならば愛情値というパラメータがあり、これは放っておくと下がっていき離脱・謀反につながりますので、このフェーズやアイテムなどを駆使して自軍の士気は常に高いものにしておかなければなりません。まあ、なかなかうまくいかないもんですが。


次に、調教の館を建てていれば、売春宿フェーズがあります。3人いる変態調教師(タマネギ、小春、千住)をどの売春婦につけるか、誰を店で接客させるかなどを設定します。女性キャラならば大抵売春婦として金稼ぎを強要することが可能で、その売春宿の毎月の売上は自組織の資金源としてははずせない要素となっています。さらに、売春宿専用の調教、売春イベントも多くの女性ユニークユニットに用意されておりますので、どうしてもそのあたりも攻めたくなってきてしまうのですね~。前のプレイでは戦闘要員としておおいに活躍したキャラを、次のプレイでは買春イベントの回収ために売春婦としてしまう……そんな鬼畜な流れを当たり前のように行なってしまう笑。

少し逸れますが、次作「大番長」も名作ですが、やはりそれでも大悪司を推してしまう理由は、肩の抜け具合や遊びのシステムがどうしても大悪司のほうが優れているから、ですね。特にこの「売春宿」制度の画期的さといったら凄い。大悪司はヤクザものがメインキャラですので、賄賂、風俗、強盗、強姦、殺人……と当たり前のように犯罪事が主人公サイドでも横行しており、こういった要素がゲームの面白さを底上げしているのは間違いありません。


そして戦闘フェーズですね。任意に地域配置した部下を駆使して敵地域を奪いとるもよし、何もせずに成り行きを見守るもよし。他地域に攻めこむには大きな出費がありますし、負傷をすれば回復のためにやはり出費があります。戦争はお金がかかりますね。懐事情や仲間の体力を考えながら自陣を増やしていきます。


そしてこの戦闘システムがまたよく出来ているんです! 説明が難しいんですが……。一度の戦闘では、その戦闘になった地域にいる、味方、敵で人数が多い方の組織のキャラの人数分、タイマン戦闘を行うことになります。わかりにくいですかね。例えば、悪司勢力が4人配置されているある地域にて、敵勢力5人が攻めこんできた場合などは、5回分のタイマン勝負が行われます。

一回の勝負では、その地域に配置しているキャラが戦闘可能なわけですが、基本的にタイマンは、各々の攻撃のぶつけ合いです。またキャラごとの特性として、近距離、中距離、遠距離の3パターン、攻撃距離が決まっています。距離の長い方が先制して攻撃出来るとともに、本作、自分の攻撃が直撃すると比較的高い確率で相手攻撃の無効化が発生するので遠距離なほど有利……かと思いきや、キャラのパラメータ要素として回避率というものもあり、さらに攻撃力も単純に近距離なほどに高いので、これもまた選択を考えなければなりません。また、各ユニークユニットは、色々なパラメータや要素を無視する必殺技を持っていたりしますので、それの使いどころも見極めたいところです。

そして捕獲システムというものがあり、これがもうゲームとして凄い秀逸。イベントの流れで仲間になるキャラも勿論いるのですが、大抵の敵キャラは戦闘フェーズの中で、HP10以下で戦闘を終えさせて捕獲することが仲間にする条件なんですね。で、これがなかなか難しい。そもそも仲間にしたい敵が都度タイマンに出てきてくれるとも限らないし、与えるダメージが少ないと戦闘自体に勝利したとしても当然捕獲できません。逆にダメージを当てすぎてうっかり殺してしまったりもしますので、ただ攻撃力の高いキャラばかり揃えてガチンコに敵勢力を撃破すればいいというものでもないのが戦闘フェーズのやり込み要素の肝です。防御系のキャラ、攻撃力の低いキャラ、相手への攻撃力を極端に抑える「手加減」攻撃の使えるキャラなどをうまく配置しないと、なかなかうまいこと仲間を増やすことができません。仲間にしたいキャラを捕獲出来たときの高揚感ときたら凄いですよ!!

そんな戦闘フェーズを経て、最後に他組織フェーズで他組織内で進行しているイベントを見て1ターンです。盛り盛りだくさんですね。


シミュレーションゲームとしての難易度も絶妙な適度さで、易しすぎず難しすぎず。敵対組織も複数ありますので、2周、3周目でのシナリオ変化や追加キャラクターなどもあり、やり込み要素はあまりにも深い!廉価版が出ている今となっては最強のコスパゲームかと思います。


ゲームシステムは以上。次にグラフィックですが、一枚絵の圧倒的な多さはたいしたものです。アリス大作は看板原画家が総出でキャラ分担しますが、どの原画家さんも本当に魅力ある絵を描く方なので、安心できます。色々なタイプの絵を見ることができますね。ただまぁ拷問系の一枚絵は見る方もしんどいなあ、って絵が結構ありますが……。


【キャラクター】
主人公は山本悪司、ランスか悪司かってほどにアリスソフト随一の魅力を持ったキャラですね。外見的に優れているわけではないのですが、フィジカルもメンタルも尋常ではなく、性格も豪傑ならば女性の扱いもお手の物、というまさにあらゆる道を極めた文字通りの極道です。

キャラクターは上記した通り、ユニークユニットだけで100名以上登場するため、敵味方含めてあまりにもバラエティに富んでいます。当初の悪司まわりの勢力に加え、敵対勢力はわかめ組、高山組、ピーチマウンテンといったヤクザもの勢力から、那古教といった宗教団体、そして現在のニホンを統治下におくウィミィ……と、組織も多岐に渡ります。もちろん各組織に属さない単独のキャラクターも多数います。

そのなかでも特に印象に残っているのは、女性ユニットですと、上記ヒロイン群の殺ちゃん、元子。それから、市議会の山沢麻美、デザインも超かわいく正義漢のある彼女が不幸な目にあうのはたまらんです。しかも戦闘要員としても超優秀。あとは元子もそうですが、わかめ組女頭のや幹部の晴子、そしてPMのリンダ支倉姉妹などのヤクザもの女性陣がかっこよかったですかね。那古教の凄腕土岐遥は可愛くてキャラも凄く好きなのですが、仲間にするのが大変な割にはにエロシーンが萎える系で残念。

男性ユニットで好きだったのは、悪司もそうですが祖父の山本一発がまた凄まじい。あまりの強さに反則キャラというか、裏キャラ的な位置づけにいる彼ですが、悪司以上の豪傑ぶりは気持ち良かったですね。戦闘力が高くて印象に残っているのは、悪司のお目付け役だった大杉や、わかめ組旧幹部の加賀のおっちゃんですかね。それからゲーム途中で雇える傭兵たちはどのキャラもデザインと設定が立ちまくっているうえにめちゃくちゃ強いので、サブのさらにサブでありながらも全員印象に残っています。あとは戦争のトラウマで死にたがりになってしまい、実際ほっておくと自殺してしまう長崎旗男さんとか使い勝手がよくて印象にありますね。でも戦争未亡人と恋に堕ちると自殺しなくなるというのもいい話。初期に仲間になる不良高校生鬼門始も使い勝手が良かったですかね。悪司の成長と連動して成長するのでほっといても強くなります。あとはシナリオによってはわかめ組を乗っ取る素敵医師ですか。ヤク漬け&包帯でミイラ状態というデザインも強烈でした。

【音楽】
音楽はShadeさん……ではないのですね。DragonAttackさんですね、Shadeリフの印象が強烈なアリスソフト作品ですが、武侠ゲームで派手な演出も十分なアリスらしいBGMの数々です。既に凄いのですが、まぁこれでShadeさんだったらさらに凄い熱いことになってたのかも、とどうしても思ってしまったりもします。…が、まぁそれは野暮ですね。十分な出来だと思います。


以上、大悪司でした。
しかしかつてこんなに面白いエロゲがあったでしょうか。 ここまではまったのはFF、ドラクエシリーズかクロノトリガーかくにおくんシリーズか……。そういった往年の名作ゲームに並べて名前を挙げたくなってしまうエロゲなんです。


関連レビュー: 大帝国



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【下級生】
下級生

ka_g_dl.jpg

メーカーelf
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■□ 9.5
ときめき■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

伝説青春ゲー

1996年発売、もう15年近くも前の作品になるのですね。elf全盛期を代表する作品です。「同級生」シリーズで作り上げた、MAP移動と時間軸と恋愛イベントが連動した画期的なシステム、これにプレゼントなどでの好感度変化要素や季節イベント要素を加えて恋愛SLGのひとつの完成形をもたらしたのが本作だと言われています。

僕は初めてプレイしたエロゲが本作だったのですが、「18禁ゲームというのはなんて凄いんだ」と心の底から思いました。特に当時は今以上にエロゲなんて日陰の業界だろうに、大流行していた「ときめきメモリアル」よりも正直面白いじゃないか、と。それもそのはず、なにげなく手に取った本作は、当時最も画期的で、アダルトゲームだというのにも関わらず商業的成功を収めた、エロゲ界にとってひとつの指針となった名作だったのですね。納得です。

【シナリオ】
私立卯月学園に通う主人公は、親元を離れ、ひとり学園寮にて生活しています。いつも通り叔父が経営する喫茶「土下座」でのバイトを終え、明日から始まる高校生活最後の一年に思いを馳せる主人公。来年の今頃、自分は何をしているのだろうか、そして誰かと共に過ごしているのだろうか……。漠然とした不安と期待を抱きながら、物語が動き出します。


期間は1年間。夏休みや冬休みのみだった同級生シリーズとは違い、年間を通すことになるので、非常に物語に厚みがあります。

良い点は、新学期のクラス替えを起点に始まる学園生活から春夏秋冬にまたがる季節的なイベント…と時間の流れを強く感じますので、本当に長い時間をかけてヒロインたちと仲を深めている感覚になりますし、高校三年生という青春時代の濃密な時間の変遷をよく感じ取ることができます。リアリティがありますよね。当然各々の季節に限定したイベントなどもありますし、服装などが季節で変わっていくのも楽しい要素ですね。

悪い点としては、ひとりの子狙いで春夏にうまいこと好感度を上げすぎてしまうと、後半に好感度頭打ちとなりイベントも発生しなくなり、ダレます。まぁ、そのあたりは個々の裁量ですけどね。良くも悪くもとにかく1年間は長いです。


舞台は卯月町。学校、寮、各ヒロインの家などはもちろん、駅前には繁華街があり様々な店がありますね。デートによっては他の町やアミューズメント施設に行くこともできます。主人公は学校内や町中を歩き回りヒロインたちと出会い、会話をしたりデートに誘ったりプレゼントを渡したりしながら好感度を上げて、ゆくゆくはHに持ち込んでいくわけですね。夜は電話したりなんかもできましたかね。イベント出現のフラグとしては、場所、時間帯、好感度などが一体となり、条件が合ったときに発生します。平日に偶発的に起こったりもします。各ヒロイン、けっこうな量のイベントがあった印象ですね~。

会話を何度も重ねるために、電話をしてみたり家に足を運んでみたりして、デートの約束を取り付ける。好感度が足りないと当然デートだって断られますし、デート場所だってヒロインごとの好みがあります。さらにデート終了時に夜だった場合は、別れ際に抱きしめたりキスしたり、はたまたホテルに誘ってみたりといった選択もあるのですが、当然これらも好感度次第で受け入れてくれたり、拒否され怒られたり……と手に汗握るわけです笑。 最初は「忙しいから」「お母さんが呼んでるから」とそっけない感じだったのが、段々「もう少しだけ」「もう行っちゃうの」と変化していき、立ち絵の頬が染まったときの高揚感ときたら……! 

ふぉぉおおああああ!!


また、プレゼント、デート、ホテル代…こういったものには当然お金がかかりますし、そのためにはバイトをこなさなければなりません。喫茶「土下座」でのバイトに加え、町中には単発のバイトが色々と転がっています。ブルセラショップで買ったグッズをブルセラマンという変態に売る実にエルフ的な方法なんかもあって笑えます。しかしバイトをすると、当然時間を何時間も持っていかれてしまいますので、適度さが必要です。


key、leaf以降、エロゲといえば、「ノベル形式」というのが基本であり、ライターの用意した定められたテキストの流れに乗る、というシステムが常套となっています。勿論こういった形式は物語を純粋に楽しませることが目的となっていて、これはこれで凄く好きです。しかし本作のように、定められた時間の中で、どこに行くのか、何をするのか、どこまで仲良くなるつもりなのか、これらの展開を自身に委ねられながらマップを移動してイベントを探していくコントロール感、ゲーム性、リアリティの高さ。とてもPC98時代のゲームとは思えません。フロッピーディスクですよ、信じられますか。

本作の8年後、2004年に「下級生2」が発売されますが、ゲームシステムは全くといっていいほど変更されていません。その変わり映えの無さはユーザーにさんざん叩かれる結果となってしまいましたが、逆に言うと、10年後でも普通にプレイできる環境がこの時すでに備わっていた、ということでもあり、これは驚異的なことです。


いや、しかし本当にはまりましたよ。各ヒロインとのシナリオはシンプルながらもよく練られていますし、展開される会話もテンポが良いことに加え、読み手の琴線に触れるようなものばかりです。エンディングでは、その先にあるヒロインとの未来を微笑ましく想像し、また以前のプレイでエンディングを迎えたものの今回は結ばれなかったヒロインたちのことを考えると一抹の切なさを感じたりもしていました。……と、こう文章にすると正直気持ち悪いですが、当時は多感な時期にして、初めてプレイした美少女ゲームでしたから致し方なかったところであると思います。

キャラ毎のシナリオ展開は下記にて。いやはや、こうして思い出して文章にまとめると再確認する。やっぱいいゲームだよなぁ。


【グラ】
原画担当は門井亜矢さん。原画の魅力で購入に踏み切ったといっても過言ではないくらい、惹かれる絵を描く方ですね。アニメっぽいタッチでとっつきやすい絵柄だと思います。原画総数は400枚以上でしたか。グラフィックに関して言えば、いまだに、質、量ともに他社を圧倒するレベルを保つエルフですが、この作品でもそうですね。本当にご苦労様でしたと言わざるを得ません。

恋愛SLGとして優秀なシステム部分は上記しましたので割愛しますね。


【キャラクター】
視点は基本的にすべて主人公からのものであり、ノベル形式でなく自分で主人公を操作しますので、ユーザー=主人公、というスタンスを取っています。主人公は、問題児だけど、行動力があってかっこいい。蛭田さんが描く主人公ですね。

ヒロインは全部で13名。タイトルこそ「下級生」ではるものの、実際は年下ヒロインよりも同級生~年上ヒロインの方がはるかに多く、何のためのタイトルなのかよくわかりませんが、様々な属性を持った良ヒロインが揃っています。最近の美少女ゲームの風潮のように「実際こんな奴いるか」ってタイプのぶっ飛んだ子は皆無で、程よくリアリティのあるキャラクターばかりですね。

というわけで、がっつり書いていきましょうか。

まずはクラスメイトの結城瑞穂。今でこそ萌えだのツンデレだのゆるキャラだの様々なヒロイン像がありますが、彼女は、ロングヘアが似合いかわいくて明るくて気立てがよくて裏がなく優等生で運動が出来……といった超王道的要素を満たしきっている純然たるメインヒロイン像です。パッケージ原画にひとり載っているのも彼女ですからその存在感がわかるというものです。よく出来た子ですから、当然問題児の主人公にも最初から優しく接してくれますし、攻略自体もしっかり彼女につくしていれば問題ないでしょう。学園のマドンナであり優しくかわいい彼女と仲良くなっていく過程はやはり気持ちのよいものがあり、他のヒロイン狙いだというのについつい瑞穂に流れてしまう、なんてこともよくありました。王道こそ最高、というのを地でゆく感じですね。魅力溢れるヒロインがたくさんいる本作ですが、なんだかんだ瑞穂が一番好きでした、僕は。

続いて指切神社の一人娘、神山みこ。ちょっとロリっぽくてぽやぽやしているのでユーザー人気はかなり高いようですね。巫女属性とかもあるかも。Win移植版は、瑞穂と彼女がパッケージを飾っています。おっとりとマイペースな子で、異常に厳しい家庭の決まりごとや、周囲に対して隙がありすぎることにもまるで疑問を感じず受け入れる昼行灯キャラです。だからこそ、主人公に惚れ出してから、自分の意志で主人公を愛しだす彼女は、とてつもない破壊力を持ちます。

財閥令嬢の新藤麗子。絵に描いたようなタカビーお嬢様で、ツンデレ展開の典型ともいえるキャラです。最初、主人公のことは野蛮な小市民程度にしか思っていませんが、好感度を上げていくと、徐々にツンデレしてくれます。口では罵っていながらも、頑張って弁当を作ってきたり、ヘタクソなマフラーを編んできたり、といったイベントはかなり萌えます。お金を散財する新藤節のデートが段々、高校生等身大のデートになっていくのも良かったですね。本当は寂しがり屋の彼女を包み込んであげてくださいな。

美術部のクールビューティー加納涼子。自尊心が高く自分の価値観が大切であり、他人との関わりにも興味を持たない彼女。ある件をきっかけに彼女に対して主人公が激怒するイベントを経ると、本当の意味で彼女のシナリオがスタートします。我が道をいく芸術家肌のキャラが、主人公のことを一心に思うように変わっていく過程は物凄いニヤニヤです。下級生の中でもトップクラスの人気があるというのも頷けるかわいさ、綺麗な女がかわいい仕草を見せると男は例外なく落ちます、これjk。

橘真由美、いまや死語となってしまった「コギャル」な彼女、天真爛漫で、ブルセラや友人とのHも抵抗なく行えてしまうキャラとして描かれます。ゆえに、理想を追うエロゲユーザー様たちからは全くといっていいほど人気が無いのですが、彼女のシナリオは本作の中でもよく出来ている方だったと記憶しています。作中唯一、好感度が高くない状態でHの出来る彼女ですが、反面、好感度を上げることもなかなかできません。そのためには冬に発生するとあるイベントを見る必要があり、それまではつかず離れずの関係をずっと続けることになります。本当の意味で人を愛し出してから、自分のそれまでの行いを後悔する彼女の心の機微はかなり切ないものがありました。

以上、同級生ヒロインから。タイトルこそ「下級生」ですが、同級生ヒロインの方が魅力的な印象です。

タイトルでもある下級生は4人います。まずは南里愛飯島美雪。彼女たちは親友同士であるため話がセットになっていて、シナリオ完成度も高いです。主人公のことを好きになるおとなしいタイプの愛と、それを応援する勝気な陸上少女の美雪。美雪が愛を応援しながらも主人公のことを意識しだしてしまうことにより、すれ違う二人の友情……青春っす。実に「下級生」というタイトルらしい展開ですね。愛との友情と、主人公への愛情で葛藤する美雪シナリオも良いですが、逆に、おとなしくて世間知らずな愛が、主人公への激情ぶりを見せる愛シナリオもこれまた良いです。さっぱりしてそうな美雪と、情を重んじそうな愛ですが、主人公を間に挟んで、当初とは逆の性格をみせるのが面白いところでした。

続いて皆川奈々。作中最年少ヒロインとなります……うーん、当時は年上だったんだけどなぁ。彼女は、最初は別の男キャラのことが好きで、主人公のことなど目もくれません、という意味で異色の序盤展開を持つキャラですね。まぁ当然のようにふられてしまいますので、失意の彼女を慰め、仲良くなっていくというごちルートです。

で、駅前の花屋でバイトしている持田真歩子ですね。目立つ設定としては、同じ学園内ではなく他校の生徒、ってことですかね。見た目のデザインは作中1,2を争う彼女ですが、シナリオは比較的さっくりしていた類ですね。でもなんといいますか、花が好きでおしとやかで、卯月学園まで遊びに来てみたり、他の女の子に密かにヤキモチ焼いたりと、とても「女の子」しているイベントが多い子というか、まぁこんなこというとこのジェンダーなご時世叱られそうですが……、好きになった人がタイプ、というのも頷けるようにせっせと主人公に尽くしてくれる「女の子」でした。凄くいい子です。

それから年上のおねーさん方が3人。まずは、学園の保険医である三月静香センセ。過去の後悔から友情を重んじる彼女、クラスメイトの慎二が入院した際にどういった行動を取るかで、彼女との流れが決まります。先生との禁断の恋ですので、色々と制限がある中で行動していくことになりますが、そういう展開こそ、好きな人は好きそうですね笑。

続いて喫茶「土下座」の同僚、山下美夏さん。音大生の傍ら、学費と生活費捻出のために水商売に手を出してしまい、結果音楽の勉強もおろそかになってしまっているという本末転倒な生活を送っている彼女。見た目は清楚ながらダメダメな彼女を救済してあげるシナリオですね。

そしてショートカットの似合う、魚屋の緑谷麻紀さん。彼女とは店の魚を買ってお得意さんになっていくと仲良くなれます。この人すごく好きですよ。あけすけで元気な近所のねーちゃんって感じで、主人公にも気持ちよく接してくれます。イヤなことがあれば即座に口と手が飛んでくるような直情的な彼女ですが、恋人モードに入ると、途端に女の子なタイプになるのもツボを心得ているところです。

そして最後、一部で「蛇足」と名高い、南の島からの転校生ティナ。あまりにも設定が浮いていますので、アニメやOVA版などには彼女は登場しません。ですが僕は凄く好きですよ。まさに「献身」を描くティナシナリオ。彼女は、実は宇宙人であり、その星の王女様。主人公は実はティナのフィアンセであり、その記憶がなくてもティナへの愛を貫き通せるかどうかの資格を問われ、記憶を消されて地球に送られてきているとの超展開。主人公が他ヒロインにひとりも手を出さずに1年を終えると、ティナと共に彼らの国に帰ってハッピーエンドです。ティナは主人公のことが最初から大好きで、でも自分からは何もせず、いつも主人公を見守っています。他ヒロインと結ばれる展開上にいますと、ティナは文句ひとつ言わずに最終日にひとり消えていくんですよね。とても健気。ですから、このルートを見てしまうと、他のルートにいけなくなっちまいますよ……。

といった感じですね。長々と書いてしまいました。
お付き合いいただきましてありがとうございます笑。


【音楽】
音楽はPC98時代のソフトということもありますし、また音楽に力を入れないエルフだということもあって本当はこんなに点数は高くないです。ないですが、音楽云々以前に本作は僕にとっての神作品ですので得点調整をさせてもらいました。思い入れ点ですね。


以上、下級生です。PC98時代のゲームに対してグラフィック点やら音楽点なんてそんな高くないだろう、と思われるかもしれません。しかし、本作が本当によく出来ていた恋愛SLGであることに異論は認めず、僕にとって圧倒的な神作品なのです。譲れないのです。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【この青空に約束を―】
この青空に約束を―



メーカー戯画
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■■ 10
郷愁■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

学園モノ最高峰

この青空に燦然と輝く大傑作だと思います。学園青春ゲーに弱い僕にとっては涙腺タコ殴りな作品でした。テーマといい雰囲気といい完全に僕のツボにドストライクなうえ、シナリオ、絵、音楽すべてが超王道にして最高峰レベルでまとまっています。

当時の僕は、誰が何と言おうと完全に南栄生島の住民でしたから、周りの仲間たちに散々心配されていたようです。美少女ゲームなんてものとは完全無縁な女友達にも普通に南栄生島の魅力を説いていたのですから、たぶん本当に頭が狂っていたのでしょう笑。当時は彼女もいませんでしたしね。あ、彼女は海己でした

【シナリオ】
本州から少し離れたところにある南栄生(みなみさこう)島。かつては賑やかだった島も、島の産業収益の大部分を占めていた出水川重工の撤退により過疎化が進み、主人公・星野航が通う高見塚学園の生徒数も減少の一途を辿っています。

そんな島にある高台の上に、学園の旧校舎を改装した学生寮『つぐみ寮』があります。学生の減少にともない現在は主人公とヒロインたちしか住んでいないこの寮、翌年の3月には廃寮も決定しており、またほとんどのヒロインは卒業や出水川重工に勤める家族の都合など各々の理由で島を去ることが決まっています。そんな寮になぜかこの時期にやってきた転校生を巻き込み、時には支え合い、時には反発しながら楽しい毎日を過ごしていきます。

迫る別れを肌で感じながらも ――。


も… も…… も………


…おっと、精神が島に旅立つところでした。


シナリオ担当は、ショコラ、パルフェでその名を轟かせた丸戸史明さん、パルフェと双璧をなす丸戸作品の最高作品だと思います。世間的にはパルフェが一番評価の高い印象ですが、個人的には僅差で本作の方が上です。まぁ両作とも素晴らしいシナリオ群ですので、そこでパルフェをとるか本作をとるかはもう好みなのかなとも思います。


前半部共通パートは、航とヒロインたちが暮らしている学生寮に、メインヒロイン沢城凛奈が引っ越してくるところから始まります。周囲の人間を拒絶して受け入れようとしない彼女を仲間として巻き込んでいく過程が描かれるのですが、前半部ラストの凛奈が皆に謝り和解するシーンでは、まだまだ前半だというに相当の泣きの演出が入ります。その後、選択肢で短い個別イベントをいくつかこなしていく中盤を経て、後半で各ヒロインルートに入る感じですかね。ゲームとしてはパルフェと同等の戯画システムを使った非常にオーソドックスな形態です。


兎にも角にも雰囲気がいい、これに尽きます。批評空間で、『雰囲気の良いゲーム』断トツトップなのも頷ける空気感。音楽があまりにも秀逸というのも大きな要因ですが、都会から離れた田舎の島という舞台上で、素直で求心力のある魅力溢れる主人公と優しく元気なヒロインたちが織り成す学園物語という設定には、やはり惹き付けられるものがあります。随所で描かれる登場人物たちのテンポの良い会話も非常に微笑ましく、また温かく、どんどん感情は引き込まれていきます。丸戸さんのテキストはクセがなく、いかにも狙いすましたかのような文体でもありませんので、そのオーソドックスさが余計にこちらの心象を煽ります。


さて、本作は「別れ」が全体のメインテーマになっています。どのヒロインルートでも、「卒寮」という共通のゴールラインを軸にし、各々の境遇や感情を「別れ」という観点から巧みにシナリオに絡ませています。その「別れ」という設定を最も高いレベルで描ききったのが季節外れの転校生凛奈ルートと幼馴染海己ルート。特に、ピーターパンにとってのネバーランドと凛奈にとっての南栄生島を見事に絡ませ昇華させた凛奈ルートの文化祭演劇シーンは、むしろピーターパン本編が後付の物語だったのではないかと思ってしまうほどのシナリオの練り込みを感じさせます。そりゃ言い過ぎか笑。

しかしてその凛奈、パッケージにもでかでかと載っている本作のメインヒロインにして共通シナリオの中心ヒロインですが、実は彼女は物語のコアな設定に関わってくるヒロインではなく、どちらかというと、しがらみなく "現在の"航との独立した話を一本立てる役を担っているヒロインです。

これはパルフェのレビューでも書いているのですが、丸戸史明という人は、表にメインヒロインをひとり立てる一方で、主人公の過去と因縁のある「裏ヒロイン」のような存在を設定することで有名です。それは、ショコラでいう香奈子であり、パルフェでいう里伽子でした。本作で主人公の過去と因縁を持っているのは、海己、奈緒子、そしてです。海己、は幼少時、奈緒子は中学生から島の中にいた人間であり、航との間に個別ルートでしか語られないドラマがあるのですね。

一方で凛奈が航と初めて関わったのはゲーム開始直後の時間軸であり、そういった意味ではどうしても積年の思いがある海己ルートなどとぶつかってしまうとはじかれてしまうのは致し方ないところ。とはいえ、前半共通パートの和解シーンから、上記の文化祭シーン、それから二人で思い出の地を巡り最後に航が指輪を渡すクライマックスのシーン、といったわかりやすく感動できる盛り上げどころを確実に盛り込んだメインヒロインらしい王道ルートではあります。個人的には海己ルートに次いで好きなルートです。


さて一方で、幼少時のトラウマといった負の設定を物語の核に使われているのが羽山海己ルートです。ふたりの片親同士が駆け落ちし、残された者たちが不幸になったという過去を持つ因縁の二人ですので、幼馴染といえど、僕らが夢見るいわゆる幼馴染属性ではないわけです。当人たちはおろか両親族にとっても、航と海己が結ばれるということは深刻な事態なわけです。海己も誰かが不幸になることを恐れている。その壁を乗り越えられない弱い海己と、乗り越えようとする強い航の物語……でもですね、ここにはちょっとしたギミックがありまして、最後の山場に向けて、その境遇の打開を成していく役割を、航ではなく海己が負っていくというのが本ルート最大の肝だったのだと思います。この流れは、ファンディスクのフォセットに収録されている追加シナリオ「この冬空に歌声を―」にも引き継がれていくものであり、丸戸さんの非常に長けた構成力を感じました。彼はこういった「役割の逆転」といった手法を非常に巧く書き分けます。

彼女は、物静かながらも内に秘めた情熱は強く、最もつぐみ寮の絆を信じている人間です。だからゆえに最も皆の別れを恐れている人間でもあり、作中随所に表れるそういった彼女の心の機微は、都度読み手を切なくさせます。

彼女のルートでとにかく心を揺さぶられたのは、海己がつぐみ寮の存続を訴える文化祭の演説シーンでした。海己の演説もさることながら、終了後一番最初に拍手をしたのが、羽山家と確執のある星野家の人間――、航の祖母だったというのがまた嗚咽です。おお、思い出しただけで鳥肌が。

そういった意味では、現在の航とストレートに結ばれるニューカマー凛奈と、過去を乗り越えたうえでやっとこさ結ばれる最古参海己という異なる2タイプのメインヒロインが本作にはいると考えて良いと思います。天真爛漫で直情型の日向キャラ凛奈と、目立たず大人しく献身的な日陰キャラ海己、180度正反対に描かれる性格も、その対照的な二人を同格に位置させようとした表れではないでしょうか。


そして、そんな2メインヒロインの影に隠れることなく、むしろ喰おうかってくらいの勢いで、他ヒロインも存在感をバッチリ主張しています。

まずは生徒会長にしてつぐみ寮の大参謀、浅倉奈緒子。彼女の姉御気質の裏にある仲間への思いやりと優しさはたまりません。彼女は数年前、航の過去との間にどでかい伏線を持っていて、それは完全に彼女のルート内でしか見ることができませんでした。彼女のルートは過去伏線の回想と、その過去と連動した現在を中心に描かれます。航が彼女のことを名前ではなく「あんた」「会長」と呼んでいるいきさつなども二人の過去に絡んでいるとは思いもしませんでした。そして彼女のルートを経た後ですと、他ヒロインルートでの彼女のセリフや行動がとても深みのあるものになります。

ちなみに奈緒子ルートは、本編よりもエピローグで感動したというユーザーも少なくないのではないでしょうか…。彼女の温かさ、思いやり、実行力がよく表れている全ヒロイン中最も気に入っているENDです。ここの一枚絵も完璧ですね。


高見塚学園理事長代行兼つぐみ寮管理人にして大財閥六条家の才女、でも天然ドジっ子六条宮穂。お嬢様と一般市民の恋愛、という図式に則った超王道シナリオでした。特にこれといった仕掛けもない設定だというのに、こんなに泣いてしまうのは何だろう。やっぱり演出がいいんですよねえ。宮穂の祖父が作った南栄生の校内新聞を全て集めることで彼女を迎えに行くという航の男気にも惚れました。

しかし彼女は天然で空気の読めない発言をバシバシしながらも、物事の本質を常に理解し見据えています。そういった意味ではサブキャラの立ち位置で魅力を発揮するキャラであり、実際自分のルートよりも、他ヒロインのルートでの方が彼女らしさがよく出ていたかもしれません。…まぁ泣きましたけどね、宮ルートも。


親の愛情を受けずに育ち、つぐみ寮に唯一の居場所を見出している藤村静。彼女のルートは、彼女の成長物語……ではなく、彼女を成長させ物語、ですね。静は恐ろしいくらいお子様なので、それを親代わりになっていた航や沙衣里があの手この手を尽くして彼女を成長させることが主となります。そして、本ヒロインが至らない代わりに仲間モノとしての体をみせるのがこのルートの良いところといいますか、ある理由から部屋に引きこもった静を航が何日もかけて説得する山場で、いつまでも折れない静を叩き伏せるために援軍として奈緒子が登場するシーンは感動ものであり、またここでかかるBGM「約束のブーケ」が泣かせてくれます。

因みにこのシーン、つぐみ寮メンバーのあまりの温かさと優しさに泣くシーンですが、奈緒子との過去の伏線を知ったうえでプレイすると、奈緒子の切なさに心が締め付けられるシーンでもありますよね。


最後にダメダメ教師桐島沙衣里、通称さえちゃんですが、彼女は完全にキャラクター勝ちで、丸戸さんのキャラ作りの巧みさが改めてよくわかるルートです。最年長ヒロインにしてギャグ担当という、稀に見る設定を持つ彼女は、適当で優柔不断で、社会人らしさも責任感もなく、教え子の奈緒子に頭が上がらないわ酒に逃げるわで、教師兼寮長とはとても思えない存在です笑。航との恋愛も、教え子相手に半分済し崩し的に少女のように堕ちていってしまいます。そこが可愛いのですが。

そんな彼女だからこそ、マラソン大会で凛奈を叱責するシーンや、静ルートで航に怒りをぶつけるシーン、そして自身のルート山場である退学寸前の航を救うために他の教師をたった一人で説得するシーンが恐ろしいくらい異常に際立ちます。

学園モノにおいて、攻略可能な教師キャラで愛着を持たれるキャラなんて早々いません。それは青々しい高校生ヒロイン勢の中に、大人の視点を持つ落ち着いたヒロインを入れ込むことでキャラクターの広がりを出すための役割が強く、年が少し離れていることもあり、どうしてもサブキャラ扱いになってしまうんですね。しかしこと沙衣里においては、その役割を奈緒子に譲り全く無視している笑。教師=大人というある種の定型を崩した好例であるといえます。


さてさて、上記にて僕は「別れ」がメインテーマと書きましたが、実はどのヒロインルートでも、一番の肝となりそうな卒寮シーンが描かれません。ストーリー上、3月の卒業は必然であり必涙であるはずなのに、どのヒロインルートもそこに至る前にエンドロールを迎え、エピローグはその数年後の二人が描かれるばかり。わたくし、「まぁ敢えて描かず余韻を残すのね、それもまた良いじゃない」と考えていました。


しかし、あるのですね!(ドーン)


全ヒロインルート消化後に、「約束の日」というつぐみ寮最後の日を描くエピソードが追加されます。これは泣けるなんてもんぢゃあないよ。展開なんてわかりきってるのに泣いてしまう、ずるすぎる。状況設定からして既に泣けるというのに、あの最後の皆が泣きながら合唱するシーンなんてやばすぎでしょう。またこのシーン、気づいた方は気づいたかもしれませんが、いつも人を喰ったようでいて、「海己はすぐ泣くだろうねぇ~」とか飄々と言っていた奈緒子が一番最初に泣き出します。こういう細かい演出もあざとすぎてダメですよ。



以上でシナリオは終わり……と思いきや、まだまだありました。どんだけですか!どんだけ泣かせれば気が済むのですか。

実はまだ凛奈ルートにおける重要な伏線が未回収のままになっています。それは、幼少時に航がとある少女に託した『逢わせ石』の欠片の行方、ですね。ふたつに割った南栄生特産の赤石をもとの形に合わせたふたりは幸せになれるという伝説――、しかし凛奈が持っていた逢わせ石の片割れは、航のものではなく、航の兄貴分である隆志さんのものだったということで決着していますので、それじゃあ航があげた逢わせ石の片割れは誰が持っているんだ、ということで茜ルートがおまけで追加されます。

サブキャラながら抜群の存在感を示す茜ですので、これは嬉しい流れでしたし、本シナリオ、彼女の健気さがたまらなく切なく、彼女への好感度がさらに上がります。そして、ただのギャグシーンだった本編序盤の彼女の登場シーンが非常に悲しいシーンに様変わりしますよね。


……といったシナリオレビューですが、改めて考えてもやっぱり名作ですねえ。僕は本当にどのヒロインルートでも泣き入っていました。各ルートの山場では当然のように大泣きでしたし、奈緒子の試験シーンや静の両親の現況がわかるシーン、海己が他ヒロインルートで苦しみながらもいちいち航の理解者であろうとしてくれる姿など、小さいイベントでも都度落涙していました。いやはや、恐るべしです。



【グラフィック】
パルフェ期と比べて、少し線が細くシンプルになったような気がしますが、それでもねこにゃん原画の魅力が衰えることはありません。立ち絵、一枚絵ともに魅力的なヒロインたちが描かれています。思い入れ補正もだいぶかかってしまっていますかもしれませんが、大好きな原画家さんです。

また「約束の日」シナリオにおける最後のヒロインたちのラフ画は尋常じゃない演出だと思います。

PCと連動したメニュー画面の仕掛けも面白いですね。つぐみ寮をバックにしたものですが、現実時間にあわせて昼になったり夜になったり、月に1回4日だけ夕立ちが降っていたり(4月4日が凛奈と航が出会う日なのでしょう)、その翌日だと地面がぬかるんでいたり、22時台だと航の演奏BGMに変わっていたり、「約束の日」20日の夕方ですと「さよならのかわりに」が流れていたり…と凝りすぎです。


【キャラクター】
パルフェは個々のキャラクターが目立つ感じでしたが、こんにゃくはもっと全体的、といいますか、皆が揃って初めて最強の魅力を放つ、といった趣きです。もちろん一人一人最高ですよ。寮での日常場面など非常に温かく、ひとりひとりのキャラクター性は放っておいても歩き出しそうなほど生き生きとしています。ですが、「つぐみセブン」にして個であると敢えて言わせてほしいのです。これはそういう繋がりにむせび泣くゲームなのですから。

個人的に好きなキャラは、奈緒子沙衣里、そしてですかね。奈緒子はその強さと絶対的な信頼の裏にある彼女の葛藤と優しさが丁寧に丁寧に描かれていたため、さえちゃんはそのダメっぷりと社会の歯車に翻弄される様が、そして茜はプレイ済みの方は言わずもがなですかね、本当は真のヒロインであるというのに、それを破天荒なキャラでひた隠しにする健気さからです。

主人公は星野航、丸戸作品らしい主人公ですね。元気で求心力があり、仕事も出来、それでいて情に脆い、おおよそ主人公としては理想に近い性格をしています。文句なしでしょう。

唯一ですね、これはパルフェの時も思ったことなのですが、つぐみ寮メンバーに男キャラがもう一人いればより良かったのになぁなんて思うんです。これはホント個人的な意見かもしれませんが「仲間」「チーム」をシナリオ前面に押し出す場合、男女数のバランス、ってのは大事な要素だと思うんですよ。"男ひとり、女多数" のチームってのは、やっぱり勢いに限界があると思うのです。男が数人いて始めてチームってのに勢いが生まれる、そういうもんだと思うんですよ僕は。

全員同性、ってのも良いチーム形態だと思いますが、エロゲで全員同性ですと、どちらの性に転んでも物語が成り立ちませんので笑、是非もう一人だけ、重要な男キャラを内部に配置してほしかったんです。たらればは嫌なのですが、もしも、あやかしびとやリトバスのような異性キャラバランス感があったならば文句なしだったなぁ…とか思ってしまうわけです。

んー、とはいえ、つぐみセブンに男をもう一人加えるってのは、そもそもの前提を覆す変化ですし、それにより雰囲気や流れが変わってしまうのも確かではあるんですけどね。強いて言えばわたくしがもう一人のつぐみ寮生だったのでカバーできているといえばできているんですけど、何故かわたくしに課せられた絡みはクリックをすることのみでしたので。

んまぁ、でも丸戸さんってそうなんですよね。ラブコメ至上主義といいますか、あくまで男キャラは、物語の根幹に関わるのではなく外からのサポート役として描かれますし、それが丸戸世界の味なんですよね。わかっちゃーいるのです。なので好みの問題です。美少女ゲームに男キャラなんてそう何人もいらねーよ!って人もいるかと思いますしね。

ま、こうは書きましたがキャラクター点も10点です。つぐみ寮メンバーや三田村兄妹、雅文や紀子、星野夫妻、海己の父親、吉倉先生…と素晴らしい面々が揃っているのですから。


【音楽】
音楽は、正直今まで僕がプレイしたゲームの中でも屈指の出来だと思います。

歌付き曲である、OPの「allegrette」と、文化祭シーンにて絶妙なタイミングで流れる「Pieces」、必殺シーンで流れる「さよならのかわりに」も勿論素晴らしい出来ながら、作中BGMでここまで総合的なレベルの高い作品は見たことがありません。「約束のブーケ」「もうひとつの青空」は最高クラスの名曲、ギャグシーンでこれがかかっても泣いてしまうような気がしてしまいますし、「風のアルペジオ」「春を待つ少女のように」「Two of us, Seven of us」「あの時、君が振り返ったなら」…と泣きBGMがこれでもかというほど揃っています。他、全体的に温かく穏やかな曲が多く、南栄生島の世界観に貢献しています。


以上、この青空に約束を―、でした。

設定として、決して何かが突出しているわけでもなく、強いドラマ性があるわけでもない、普通の人物たちの物語ではあります。であるがゆえに、この空気感と感動を生み出すことができたともいえますし、さらに、だからこそライターの力量とスタッフの演出に賛辞を送りたいのです。

最高に素晴らしい、僕らの「あの頃」の感情を強く揺さぶる作品でした。



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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