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エロゲ レビュー ブログ
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【SWAN SONG】
SWAN SONG



メーカーLe. Chocolat
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■ 9
音楽■■■■■■■■ 8
悲劇■■■■■■■■■■ 10
総合【S】 92点

崖っぷち群像劇

現在は販売停止のようですし、もともとの生産本数もかなり絞られていたみたいで、まさに隠れた名作といった趣きです。ただしこれは良くも悪くも「エロゲー」という括りの作品ではありませんね。萌え要素や肩の力の抜ける独特のウケなどもなく、世界観ゆえの暴力的な性描写やリアルな死を惜しげもなく出すための18禁作品として捉えた方が良いでしょう。

【シナリオ】
クリスマスイブの雪の夜、山深い地方都市を襲ったマグニチュード9.5の大地震。街は壊滅し、都市機能がほぼ全て停止する中、とある教会で出会った同世代の6人の男女たち。性格も出自もまるで違う彼らですが、力をあわせて生存への道を模索します。やがて彼らは他のより多くの生存者と出会うために、行く手の先にある水没区域を筏で渡る決意をします。その先にて出会うものは、極限の集団行動においてあらわになる人間の本能や欲望、彼らひとりひとりはどのような運命を辿ることになるのでしょうか。

と、いった感じで、まったくタイプの違う登場人物たちを中心に添え、未曾有の大災害という極限状況下における個々の行動を非常に繊細に書き込んでいます。キャラ視点が次々と入れ換わることで多角的に場面を捉えることが出来る点は巧妙ですね。シナリオライターは瀬戸口廉也さん、正直美少女ゲーム向きのライターでは全くありませんが、彼のような存在がこの業界にいてくれたことは面白い限りです。読ませる洗練されたシナリオで、そのテーマ性から、いずれのレビューサイトでも「嫌いだ」「欝になる」といった記載はあれど、「つまらない」といった類のものは見当たらず、「凄いシナリオだ」という認識はほぼ共通しているようですね。

上記、水没した区域の先にある避難所と化した学校が主な舞台となります。一方で同区域に存在する宗教団体「大智の会」との競り合いが大きなターニングポイントとなっていくのですが、うまいのはこの二団体の争いはあくまで舞台装置であって、学校側=味方、宗教団体側=敵、といった一元的な単純構成にしなかったことですね。主人公グループや、学校サイドの人間たち、大智の会当主の少女などのそれぞれの立場や思惑を立体的に絡ませて、「いったい誰の正義が正しいのか」というテーマを際立たせるシナリオの重厚さは見事の一言。何よりもラスボスは学校サイドにいますのでね。

人間模様が秀逸な作品ですので、キャラクター面からシナリオを掘り下げてみましょう。反転してはいますが、ネタバレすれすれ気味です。

本作には、冒頭に教会で出会う3人の主要男性キャラが登場するのですが、120度ずつ違う方向を向いているようなタイプの人間たちです。その全く違うそれぞれがこの極限下でどのような行動に出るのか、それが本作の肝となります。

主人公の尼子司はストーリーテラー役、主人公としては感情移入したくなるタイプでは実はありません。あまり行動的にならず、冷静に物事を見つめています。ただそこに彼なりの生き方というか信条みたいなものは確かに一本あり、自身がかつて経験した絶望と現在の逆境にも目を逸らすことなく見据える強さを持っていますし、自ら望んですこし外れた位置に身を置いている様相です。主人公ですので彼視点になることが当然最も多く、客観的に物語を読むことが出来る役割としては確かにうまく機能していたように思えます。

続いて田能村慎。彼はヒーロー役ですね。彼はこの極限世界においての理想を体現するキャラクターで、少年誌なんかの場合ですと彼が主人公になったほうがよっぽどしっくりきます。ただ、彼を主人公にしないあたりがうまいところですね。こういう強い信念とそれを成すだけの力を持っているキャラを主役にしてしまうと、どうしてもハッピーエンドありきの真っ直ぐな話になってしまうんですね。それだとこの泥臭い世界観を表現することは厳しいんです。彼はヒーローですので、彼がどう出るかによって皆の運命が変わるほどの影響力を持ちます。しかし、彼はヒーローではありますが完璧ではなく、本作でもいくつかの判断ミスをおかし、結果としてそれが鍬形の暴走や彼の死を招いてしまいました。彼のいくつかの判断ミスのひとつを修正する選択肢がHAPPY ENDにつながることも、彼の存在感をよく表しています。

そして最後にアンチヒーロー役を負う鍬形拓馬。語弊があるかもしれませんが、本作は彼の成長物語でもあります……宜しくない吸収をしていますが。彼は、最終的な位置づけとしては「ラスボス」ということになりますが、ただただ女々しかった序盤から、他2名の主役男性陣に憧れ、悩み、行動し、戦い、そして恐怖を穿った悪い方向で克服してしまう、ある意味で最も人間臭いキャラだったといえます。司は世界を斜めに捉え達観しているところがありますし、タノさんはそのゆるぎない理性をもって逆境に屈しない人間でした。いってしまえば彼らはフィクションなキャラクターですので、僕らに一番近しい人間が鍬形なのではないでしょうか。まあ流石に自分はああはならないと僕は信じていますが……わかりませんね、こんな状況ですから。ま、そういった意味では、終盤彼はかなり悪のカリスマを発揮し凶行も凄まじいものになっていきますが、それでも憎み切れないのは、前半部分での彼の弱さや葛藤の書き込みが非常に丁寧に掘り下げられていたからでしょうね。


そして中心となる女性キャラクターが2人います。佐々木柚香川瀬雲雀、彼女たちの描かれ方も対照的ですね。
清廉とした雰囲気で優しさと慈愛に満ちた正ヒロインの様相を漂わせ、実際そういった描かれ方をする柚香なのですが、彼女はちょっとしたトリックキャラクターでしたね。実は無気力で他者に依存しないという、女の子に理想を重ねるこの手のゲームとしては黒いものを持っているヒロインですね。彼女は結局誰ともわかりあえず、違いますね、わかりあおうとせずに空虚な存在なまま物語の収束を迎える、非常に寂しいヒロインであったといえます。ただ、どちらのENDでも生き残る唯一のキャラであると共に、無気力な自分の独白がラストで入ることや、両ENDでの最後の様子を見ていると、もしかしたらアフターの世界では成長を望む彼女が見られるかもしれません。

性格的に真っ直で素直、「いわゆる」メインヒロイン的なのはむしろ雲雀ですね。彼女は自分の直感に正直であるがゆえに、最後は自分が信じられるたった一人を選びます。また、口の悪さに反して、あろえや子供の面倒を率先してみる母性も併せ持ち、柚香よりよっぽどヒロイン的な、ドラマ的な行動をとる子です。しかしあくまで彼女はメインのヒロインではないところが、男性キャラにおける司とタノさんの関係に非常に似ています。上記しましたがタノさんを主役にしなかったように、雲雀をメインヒロインにしなかった同じような設定は正解だったと思います。


さらに、主役クラス6人以外では、本作のキーパーソンともいうべきキャラがふたり。ひとりは小池希美、暴徒に強姦されていたところを鍬形によって救い出される少女です。鍬形を慕うことになる彼女が、鍬形への自信や使命感に大きく貢献し、鍬形豹変のトリガー役になります。しかしながら彼をうまいことハンドリングするわけでもなく、彼女もごくごく「ふつう」の女の子です。その弱さや思春期ゆえの脆さが独占的な黒い思いとなり、破滅への道を誘うことになりますね。登場シーンから可哀想ですし、狂気めいた日常が生んだ悲劇のキャラの一人といえます。

また、舞台近辺に根城を構える新興宗教の象徴、竜華樹様の化身として崇められている乃木妙子。対立勢力の若き旗振り役として、彼女の葛藤や行動などもなかなかに切り込んで描かれます。結局というか当然というか、彼女は神の生まれ変わりでも何でもない普通の少女、周囲の人間の依存度が高まるこんな状況下だからこその、そこを突きまくる心の痛む描写が多いです。ちなみに彼女は司の妹なのですが、この設定は蛇足。唐突ですし、物語への必然としての楔になっていたかというと、決してそんなこともありませんでした。


他、避難所にて、自衛隊員のお兄さんや、初老の医師なども出てきますね。彼らは、避難所にいる人たちにおける理性の堤防役として機能しているわけですが、彼らの物語からの退場が破滅への引き金になるという構成はとても妥当。彼らの退場という事件こそ鍬形の真価を見せつける絶好の機会だったのですから、ここを使わない手はありません。



途中の選択次第でBAD直行もありますが、基本的には一本道です。どのヒロインと結ばれるとかって流れもとっていません。EDはふたつ。ほぼ全員死んでしまい教会の崩れた女神像をあろえが再建している非常に刹那的なEND、それじゃ救われないだろうってなことでほぼ全員生き残り復興への希望を残すEND。前者がNORMAL END、後者がHAPPY ENDだと言われていますね。確かに後者は前者の「ifルート」って雰囲気が強いです。


まーしかしこの手の破滅型の作品は重いながらも考えさせられますね。
望月峯太郎さんの漫画「ドラゴンヘッド」でも思ったのですが、何をもってして「正義」「普通」なのだろうかということですね。大味な話になってしまい恐縮ですが、僕らの日常で殺人は決定的タブーですが、時代と状況さえ変われば、人を殺して英雄にさえなれるわけじゃないですか。本作も、この極限の中で普通であるはずの常識が完全に崩壊しています。僕らは平和な価値観が守られた自室のPCの前で本作をプレイしているので、鍬形一派が狂気的に見えるのですが、実は彼らが行っていることは、行為こそ残虐ですが戦略としては正しいのかもしれませんし、そういった意味では、常にブレないタノさんや司の方が普通ではないのかもしれません……ま、幸せなことに僕はここまでの極限に身を置いたことがありませんので、実際どんな自分になってしまうかはわからないんですけどね。


最後に、中心メンバーのジョーカー的立ち位置にいる、八坂あろえという少女のことに触れたいと思います。彼女は自閉症スペクトラムという病を持った障害者の少女として主人公群に登場しますが、実は最初から最後まで物語の端っこで目立たず存在し続けています。彼女のような無垢なキャラクターを巧妙に機能させられるシーンはいくつもあったのだと思うのですが、そういったシーンで彼女はほとんど登場してきません。正直僕は彼女の存在が本作に必要だったのかがよくわからないんですよね。極限の人間模様を描くにはあまりにも浮いている人物設定ですし、また、他5人で十分すぎるほどに「人間」を描くことは完結していますから。

ただ、タイトルが「Swan Song」であり、白鳥に対して無垢で真っ白なイメージを抱く僕らからすると、「白鳥の歌=あろえの紡ぐ行動」というのがタイトルを象徴していると考えて良いと思います。そういった意味では最後のシーンの崩れた女神像の再建こそが「Swan Song」であると思うのですが、これはあろえの最初で最後の意志表示だったんだろうなあ。自分の意志を以って、神を、世界を創り直したいと願ったのではないでしょうか。このスワンソングが、彼女の行動から希望を見出しそして死にゆくであろう司への鎮魂歌と、それでも希望を見いだせない柚香への応援歌となることを願いつつ。



【グラフィック】
非常に洗練されています。グラフィックの綺麗さはさることながら、場面や状況に合わせた文章表示のカットイン、視点の切り替えなど、作品の緊迫感、臨場感をいかに出すかのアイデアとそれを実現する努力がなされています。また、とても見にくいのですがメニュー画面の崩れた文字表現などもよく雰囲気が出ていますね。

そして原画担当は川原誠さん、作風に合ったすこし大人びた画風ですね。一枚絵の構図の絶妙さ、丁寧さもそうですが、カットイン画面でのキャラの表情なんかも非常にうまく、作品の迫力に申し分なく貢献しています。


【キャラクター】
キャラクター像はシナリオと非常に緻密に相まっていましたのでシナリオ部分でほとんど書いてしまいました。以下もっとライトな雑感的なところではありますが。

やっぱりタノさんと雲雀がかっこよすぎたため、主人公司とメインヒロイン柚香がキャラ的に薄かったのが残念だったかなー。凄く基本的なことに思えるのですが、主役を主役たらしめるのって難しいんですよね、ホント。どうしてもおいしいところを攫う脇役ってのは目立つんですよね。

好きだったキャラは、やっぱ田能村慎。こんなに強いケーキ屋さんは初めて見ました。タノさんは、人としてこうありたいものです。ただ、エロゲ史上稀に見るほどに死亡フラグ立ちまくりの彼がいつやられてしまうのか気が気ではありませんでした。ゆえにNORMAL ENDで鍬形一派に殺されるシーンは「やめてーーー!」と叫びだしたい気分でした。最後まで生き残るHAPPY ENDは胸を撫で下ろしましたね。えがった。


【音楽】
歌付の曲がないので、あまり印象に残っているわけではないのですが、BGMは総じてレベルが高いです。オーケストラ調のOPも仰々しすぎて、本作プレイ意欲をかきたてます。ピンチの場面で流れる急かすようなBGMや派手なBGMなど、映画的なBGMが非常に多いのが特徴です。ただ、基本的には退廃感を出すために、無音+吹雪エフェクトを効果的に用いていますね。作品世界観を大きく押し出す音楽群であることは間違いありません。


以上、SWAN SONG でした。
エロゲーとしてではなく、ひとつの作品として楽しんでください。かなり暴力的な描写も多いですので、萌えや癒しを抱いている人はプレイはなさらぬよう。そういった意味では、「エロゲー」としての評価のしにくい作品ですかね。



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