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【ロケットの夏】
ロケットの夏



メーカーTerraLunar
シナリオ■■■■■■■□ 7.5
グラフィック■■■■■■□ 6.5
キャラクター■■■■■■■ 7
音楽■■■■■■■■ 8
タイトル■■■■■■■■■□ 9.5
総合【B】 73点

高みを目指す青春群像劇

かつてその街には「ロケットの夏」という季節があった――。

この導入だけでも何かグッと惹きつけられるものがあります。こういう青春ジュブナイルもの(18禁にジュブナイルも何もないかもしれませんが笑)は、僕は本当に大好きなので夢中になってしまいますねえ。

【シナリオ】
この雰囲気はたまらないですね。宇宙人とのコネクトや宇宙飛行産業が繁栄した世界という設定であるため、わくわくするようなSFモノかと思いきや、本作はそれらの時代が衰退し過ぎ去った後の話ですので、プレイ当初の世界観自体は、どこにでもあるような静かな田舎町の物語といった様相です。この「SFと田舎」という一見噛み合わない妙なギャップが非常に良い世界観を演出していて、ユーザーを虜にするのだと思います。

かつてロケット打ち上げの天才少年ともてはやされた主人公と、ロケットでの宇宙飛行を夢に持つ千星との出会いにより物語が動き出します。有人ロケット打ち上げ大会に出場し、空と宇宙の境界線とされる地上50マイルの高度、『フィフティー・マイルズ・オーヴァー』を目指すため、ロケット部を立ち上げ有人ロケットを皆で製作する過程を描く青春モノとなりますね。

あー設定がたまらん。


主要登場人物は、上記の主人公、千星、地球人と異星人のハーフであり幼馴染の歩、サヴォア星の王位継承問題のいざこざで地球に避難してきたセレン王女とその従者ベルチア、大人の協力者として、アンドロイド教師である顧問のはるひ先生、ロケット資材のジャンク屋を運営するチャックがいます。


地球が異星人鎖国政策をとったことで民間での打ち上げ取り組みがいまや現実的なものではなくなったこと、そして自作ロケットの失敗により歩に怪我を負わせてしまったことなどから、主人公はロケットに対する意欲を封印せざるを得なくなっています。その閉ざした心をこじあけるのが千星の登場であり、途方も無いそんな彼女の夢を皆で叶える過程が描かれるという意味では彼女あっての本作となるでしょう。ですから、最初にプレイするのは是非千星ルートをおすすめします。作品の世界観を最もよく体現している「夢」「仲間」「青春」を前に押し出したルートであり、僕が一番好きなルートでもあります。非常に清々しい話です。


対して最も感動的なのは歩ルートですので、逆にこれは最後にプレイするのが宜しいかと。ロケット製作があまりシナリオに関わらないことも含め、このルートのみ他のルートとだいぶ毛色が違います。異星人差別というテーマを比較的切り込んで描き、病原菌による地球滅亡という終末的な話の展開は、作品の性格から少し離れる気がしないでもないですが、ラストの地球滅亡寸前、ワクチンを積んだ数多のロケットが空を覆いつくし、その熱が雪を溶かし街に一瞬の夏をもたらすシーンは「ロケットの夏」というタイトルを活かした本作最大のピークシーンでしょう。

これは、レイ・ブラッドベリの短編連作「火星年代記」内における冒頭短編「Rocket Summer」の完全オマージュなのですが、50年以上前の傑作SFを引き合いにしたことや、シナリオでの生かし方含めて、非常にセンスが良いですよね。


サヴォアの内紛と絡めて二人のキャラの魅力に触れるセレン、ベルチアルートに、人の心を学び続けたアンドロイドとしての身の引き際を描き、同時にそれを何とかしようと奔走する主人公やチャックの頑張りが熱いはるひ先生ルートも悪くないですが、やはり印象としては千星、歩ルートが抜けていますかね。


ただまぁ正直言いますと、全体的に地味といえば地味ですね。ラスト付近まで共通したシナリオの流れですし分量も短いです。既読スキップとセーブを使えば10時間かからず全ルート終わるかと思います。雰囲気を楽しむゲームといった赴きが強いかと。

また、これは最たる不満なのですが、エロゲ界屈指のテーマ曲であろう「Rocket Summer」を擁しながらも、それをOPでもEDでも挿入歌でも、ゲーム内でまったく利用しなかったというのが実にもったいない。歩シナリオのロケットが集結するシーンや千星シナリオのロケット打ち上げシーンなんかでもしかかってこようものなら、涙腺はやばいことになっていたでしょう。


とはいえこの雰囲気は本当にいいものですね。共通の目的に向かって皆が頑張ることで物語が進む様は王道的なジュブナイル展開であり、僕もひとつの目的に向かって全員で邁進していた高校時代の夏を思い出しました。夜遅くまで残って頑張ったり、夢中になるあまりそのまま寝てしまったり朝早く作業を行ったり、テスト期間に活動できなくてやきもきしたり、合宿をしたり……そういった個々のユーザーに眠るかもしれない大切な記憶や郷愁を喚起させる作品です。



【グラフィック】
人気イラストレーターの小林立さんですね。ただ、立ち絵まわりと背景、塗りなど全体的にさすがに古さが否めませんね。一枚絵の方が魅力的ですが、全体としては可もなく不可もなくといったところでしょうか。それから、秀逸すぎる「Rocket Summer」と胸が熱くなる文章/台詞をおりまぜたこのデモムービーはたまらんですね。是非一度見てみてください。


【キャラクター】
歩の抱える異星人設定に絡んで負のキャラも幾人か出てきますが、基本、全体的には優しい世界観を体現するキャラばかりで総じて好印象です。ヒロインの中で個人的に最も好きなのは千星です。あけすけで夢に向かってまっすぐなキャラクター、たまらず応援したくなりますね。主人公は、ロケットに対する思いを心に秘めた熱い奴ですね。概ね奔放なキャラたちの中で理性役として機能しているバランス感も良いです。

また、声優さんたちも高校生ぽいというか、敢えてなのかそうでないのかは定かではありませんが、妙に拙い感じが逆に作風にはまっているように思えます。


【音楽】
ちょっと音の古さはありますが、全体的に心地良く、瑞々しい青春といった雰囲気を演出するBGMに、主題歌の「Rocket Summer」と、音楽の出来は全体的に良いです。特に「Rocket Summer」は僕の中では、エロゲ主題歌の中でも1,2を争うといっても過言ではないくらいに好きな曲で、自分の結婚式のいち演出として利用したいくらいです笑。アコギで入る歌い出しはいつ聞いても新鮮な気持ちで心にスッと入ってきますねえ。


以上、ロケットの夏でした。
少し古い作品で相応の出来でもあるのですが、どこか僕らを惹きつけてやまない不思議な瑞々しさが印象的な作品です。



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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【グリーングリーン2 ~恋のスペシャルサマー~】
グリーングリーン2 ~恋のスペシャルサマー~



メーカーGROOVER
シナリオ■■■■■■ 6
グラフィック■■■■■■■■□ 8.5
キャラクター■■■■■■ 6
音楽■■■■■■■ 7
つなぎ■■■■□ 4.5
総合【C+】 68点

閑話休題

GROOVERの人気シリーズ「グリーングリーン」の第二作です。前作が面白く、また全体的に悲しい物語の閉じ方をしていることもあり、同舞台設定で続きの話が見られるのは嬉しい限りですね。さて、ガーッと書いていきましょう。ガーッと。

【シナリオ】
舞台は前作同様、山奥の全寮制高等学校「鐘ノ音学園」。本作は、前作の祐介たちが3年生になった春から、つまり共学化が実現した時点からの話になりますね。ただし、前作の祐介、双葉をはじめとし三馬鹿たちはあくまで脇役。主役グループは、記憶をなくして全裸で気を失っていた主人公と、その同室の新入生たちになり、ヒロインは彼らのクラスメイトの女の子たちになりますね。

マップ上でヒロインアイコンを選択して、各々との日常的な小イベントを重ねていき、後半で各ヒロインルートに入る、前作同様のシステムです。日常シーンから夏休み間際の廃校問題、立てこもり、解決まで、基本的には全ルートが共通した流れに乗っています。

また途中、前作メインヒロインだった未来からのタイムトラベラー千歳みどりが教師として赴任してきます。その理由としては、同様に未来人である教え子の主人公を連れ戻しに来たというものですが、みどりも何故か本作ヒロインの一角であるため、本作の主人公でみどりを攻略出来てしまうというのが賛否両論みたいですね。「みどりは祐介のもの」といった意識をお持ちの方には苦しい展開になるかもしれません。

基本的には主人公が未来へと帰ってしまう、もしくは現代にとどまり死んでしまいますので、主人公とヒロインが結ばれハッピーになるENDはひとつもないのですね。全体的にはギャグ路線ながらも後半とENDはシリアス、というのは前作と同様の流れですね。こういう甘味と苦味を併せ持った作風は個人的には嫌いではありませんが、全ヒロイン共通して、切なさの作り方が「主人公の帰還」という同じ仕掛けなので、物足りなさは正直ありますね。


ただ、主人公帰還後の各ヒロインのその後、に関しては全ヒロイン共通して清々しく儚く描けていましたので後味は悪くありません。特にメインヒロイン格のカメラっ子真菜は、戦場カメラマンとして戦地で死んでしまう未来を変えることが出来ないながらも、その運命を信念をもって受け入れる素晴らしい閉じ方だったと思います。

廃校問題の原因作りに絡むお嬢様麻理亞ルート、DVに悩み転校してきたひまわりルートとありますが、ハーフである自身のアイデンティティを中心に描くルーシールートが、あけすけに主人公と青春を謳歌し、廃校問題解決の全貌に焦点が当てられる、最もバランスの良いシナリオでしたかね。ひまわりルートはテーマもそうですが、恐らくエピローグ時点で主人公が死んでおりますため残るものは結構ヘビーです。ここのひまわりの表情はグッときますが……。


まあ正直、前作と比べて圧倒的にシナリオの弱さを感じてしまいますね~。盛り上がりにも欠けますし、んーなんといいますか、全ヒロインのシナリオが序盤から最後まで共通した流れに乗っているというのがもったいないですね。また、主人公にアクがないうえにシナリオが希薄なものですから、けっこうグッとくるような台詞を言ってはいるのですが浮いて聞こえてしまうのは確かです。


さて、シナリオやキャラの弱さ等あるにはあるのですが、本作が微妙な位置付けとなる最大の理由は、「グリーングリーン3への布石だから」、この一言で片付けられます。

例えばみどりの存在。前作においてSF設定且つメイン格だった彼女の存在と、本作が前作双葉ルートの延長上にあるという設定は真っ向からぶつかってしまうものです。SF設定の3度使い回しが仇となることを踏まえ当然3では双葉がメインヒロインとなってきますので、当のみどりを救済し祐介以外の人間と幸せになる結末を用意したのがこのグリーングリーン2です。悪く言えばその「切り捨て」とも言える方法は賛否両論なれど、まあ流れとしてはひとつの正解ではあったのかなと個人的には思います。

また、どう見ても祐介や三馬鹿の熱さが際立っていますので、これも次作に向けた助走期間といえますし、本作メインであったヘルスやホセといった新入生たちは脇役として実際に次作で話の脇を固めます。祐介と双葉が別離中というのも、次作への大きな伏線ですし、また、天神姉妹といった次作ヒロインの存在も実は本作内で伏線提示されていますよね。

といったように、シナリオの甘さに加えて、前作と次作のつなぎとして、作品の性格的に高評価にはなりにくい不遇の作品ですね。


余談ですが、現みどりと天神が昔を思い出し「ドンツクラップ」「天神EでSHOW」の掛け合いをするシーンは、ギャグシーンながらもグッときてしまいました。みどりからすると十数年ぶりの掛け合いですからねぇ。



【グラフィック】
一方で、原画レベルは前作と比べてグワーッと進歩しています。グワーッと。片倉さんはこの手の作品では珍しいタイプの独特のアニメタッチですから、はまれば唯一無二のキャラ絵になるのですが、その流れはこの作品で決定づけられたといっていいでしょう。キャラデザインもとても良いと思います。特に真菜やひまわりといったヒロインのデザインはかなり好みでした。構図も、少し引いた視点からの絵が多く、これまたアニメの1シーンをピッと切り取ったかのような動きのある絵が多いですね。


【キャラクター】
まず、前作のバッチグー、天神、一番星の三馬鹿がガッツリ出てきます。加えて前作主人公祐介に立ち絵、ボイスが用意されているのは嬉しいところですね。外からの視点で祐介+三馬鹿を見ることで彼らの仲の良さや思い合っている雰囲気がよく伝わってきます。これはとても良かった。

残念なのは、彼らが、前作において非常に良く立っていたことと変人ぶりがはるか上をいってたことから、今作のキャラが霞む霞む。バッチグーたち上級生はたまにしか出てこないながらも、完全に今作のキャラたちを食ってしまっています。本作の友人たちの中では、ホセが一番良かったですかね。ラテン系の巨漢ですが、見た目以上の高校生らしからぬ懐のでかさが好印象です。ギャグ面も彼が抜けていたように思えます。

この男性陣の男子校ノリは前作を超えていますね。

そして男性キャラの方が多く、実際濃ゆい彼らに対して常識人たるヒロインたちが霞んでいるのも事実です笑。一番かわいかったのは丘野ひまわりタンで、僕はロリではありませんが彼女を守ってあげたくなりましたありがとうございます。声優さんの演技が良かったのもありますかね。まー彼女は設定がDVにまつわるもので、TRUEは主人公死亡、BADは父親刺殺と救いがありませんが……。


【音楽】
相変わらず曲に力をいれていますね。ただ個人的にはこの手のギターパワーポップがそんなに好きでないため、賞賛!とかは特にないです。OPの他、ED曲が各ヒロイン分用意されているのは凄いですが、前作の「星空」のように残る曲は特になかったです。BGMも前作の方が全体的には良かったかな。ただ、ギャグシーンや勢いづかせるシーンで流れるBGMのギターリフは本作の方がかっこよかったですね。


以上、グリーングリーン2です。
まあ良くも悪くもつなぎです。物語が続き切っているエロゲ3作品なんてそうそうありませんので、グリグリシリーズの一部として捉えて楽しんでプレイしましょう。

関連レビュー: グリーングリーン
関連レビュー: グリーングリーン3 ~ハローグッバイ~



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

まどかマギカと虚淵玄
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2011年期待の冬アニ「魔法少女まどか★マギカ」が6話折り返しです。mixiの雑記として書いたものですが、虚淵玄さんについて少し言及する内容でしたので、当ブログにも雑感程度に残しておきます。


中間地点折り返しということもありますが、だいぶシビアな感じに話が動いてきましたね。本当に面白い。


今回6話の母親とまどかとの会話の内容なんて、実にビターで虚淵さんらしい台詞で素直に「すげー」とグッときてしまいました。

ニトロプラスの彼の作品をプレイしたことのある人にはわかるかと思いますが、この人は「幸せ」を当たり前のものとして描きません。現実の厳しさを負の観点も交えながら貪欲に言及します。だからこそ薄っぺらなものにはならずリアルで、僕たちは痛みを覚えながらも彼の物語を愛するんですね。


僕は今回のまどかマギカを通して、虚淵玄という人は本当にプロフェッショナルな人なんだなぁというのを再認識しています。

思えば去年「Angel Beats」ではエロゲライターの麻枝准さんが総脚本を執筆するということで凄く話題になりましたよね。結果は、商業的という意味でも、またファンを引き付けたという意味でも成功だったと思いますが、じゃあアニメとして名作だったかというと決してそんなことはなく、"アニメ"という形式を取ったがゆえに魅力を表現しきれず微妙な感じになってしまった、そんな作品だったと思います。や、僕は好きなんですけどね、客観的に考えてです。

ですが、ここまでのまどかマギカを見ていると、そのキャラのバランス感や30分の制限時間内でのシナリオの進め方など、虚淵さんには、自分のシナリオを、自分の設定を、アニメとしてどうすればうまくまとまって魅力的に見えるかということがわかっているように思えてなりません。

当然虚淵シナリオですので、バランス感云々以前にダークな展開を見せる引き付けるシナリオであることも前提として間違いがないです。ADVゲームとアニメという、違う畑の作業であるというに、彼の作風にブレがなく、安定感が凄いんです。

6話は、後半の魔法少女のひとつのカラクリの伏線消化も鮮やかで良かったですねー。30分があっという間ですわ。あとあれだね、主題歌、コネクト、凄い良いですよね。


絵が蒼樹うめてんてーなんでギャップが凄いですけどねww
続きが本当に楽しみ!! なアニメなんです。

テーマ:魔法少女まどか★マギカ - ジャンル:アニメ・コミック

【グリーングリーン】
グリーングリーン



メーカーGROOVER
シナリオ■■■■■■■■ 8
グラフィック■■■■■■■ 7
キャラクター■■■■■■■□ 7.5
音楽■■■■■■■□ 7.5
ギャップ■■■■■■■■■ 9
総合【B+】 76点

晴れのち爆烈雷雨

2001年発売、GROOVERからの人気ラブコメシリーズ、通称「グリグリ」の第一作ですね。一応言っておくと、GROOVERは、「キラ☆キラ」のOVERDRIVEの前身となる会社ですね。キャラクターもシナリオもテンポも非常に軽快で、このシリーズならではのノリを持っています。

【シナリオ】
最寄り駅まで3時間、山奥に隔離されているといっても過言ではない全寮制の男子校「鐘ノ音学園」。多感な時期に山奥に押しやられている彼らですが、翌年の共学化に向けて試験的に1ヶ月の間女子生徒が編入してくることにより、その抑えがたき衝動が爆発します。夏休みまでの青春まっただ中の1ヶ月で彼らは彼女たちと仲良くなることが出来るのでしょうか。


と、普通この手のゲームは「主人公対ヒロイン勢」といった構図になるものですが、グリグリは「主人公勢対ヒロイン勢」という、「多対多」の構図にこだわるんですね。あ、いやもちろん他男キャラとヒロインがくっつくって意味じゃないですよ。

青春ものとして、この設定はひとつの正解の選択ですね。一番異性のことを学ぶべき時期に山奥の全寮制男子校に押し込まれた獣じみた野郎どもが、女の子たちと触れることで淡い恋愛を学んでいくのがとても微笑ましいです。各ヒロインとの恋愛の過程でも、必ず友人たちの行動や助言により主人公が動く決意をするところが特徴的です。

この主人公の友人として登場する、バッチグー、一番星、天神の思春期丸出しの三馬鹿。こいつらが日常パートで物語にグイグイ絡んできますのでそれを良しとするかどうかで作品の印象は変わりそうですね。

各シナリオそう長くはないながらも、ドタバタ劇の合間合間にしっかりヒロインたちと主人公が互いを意識しだすきっかけとなるような事件や行為がいいタイミングで挟まれて、無理なく期間内で気持ちが落ち合っていく過程が描けていると思います。このあたりのバランス感もグリグリファンの心をつかむところでもあるのでしょう。



さて、男性陣側が救いようのない馬鹿ばかり(笑)ということもありコメディを地でいくシナリオですが、ヒロインが抱える各々の考え方や負の事情がこの作品をただのコメディ作品では終わらせないスパイスとなります。どのヒロインルートも、エンディングが「ヒロインによる別れ」にちなんだものであり、ひと夏の恋といいますか、全ルートどこか切なさを残す閉じ方をするところがこの作品の魅力なんでしょうね。これだけアップテンポな作風でありながら、あぁこれはこの後ストレートに結ばれるんだな、というエピローグを持つヒロインが5人中たった1人しかいない、というのも特徴的です。

その上記唯一である同級生の双葉ルートと、それから校医の千種先生ルートはかなりあっさりしていて王道な展開をなぞるルートですので、訴えかけてくるものも正直そう強くは無かったかな。双葉は、クールにツンケンしていて素直になれないキャラクター造形のバランス感がとても好印象で、シナリオは互いの思いがすれ違う定番ストーリーですね。千種先生ルートはゲリラ的に恋愛推奨する放送を流す「グリーングリーン」の正体が彼女という設定をイマイチ生かし切れずさっくり終わった印象です。読めますしね。まあ、大人と学生の恋愛、という図式に則ったやはり王道展開です。


僕は千種先生、双葉、と先にルート消化したので、「グリグリは評判いいけどまぁひと世代前の作品だしこんなもんでしょ実際」と思ったものですが、そのあとに控えていた、正体が植物の式神である若葉ルート、想い人祐介に未来から会いに来たみどりルート、病による死を目前にして最後の学生生活のために編入してくる早苗ルートは、確かに切なさと重さを併せもつ、グリグリを印象的な作品たらしめるシナリオ群でした。

この3ルートに関しては、彼女たちがそのまま結ばれるような存在ではなく、ハッピーエンドにつながらないという意味で非常に切ない。若葉はそもそも人間ではありませんし、早苗は死んでしまいます。まぁみどりはまた未来での数年の時を経てみたび主人公に会いに来るところでENDですのでハッピーエンドに繋がる余地はあるのかもしれませんが、少なくとも彼女の気の長い思いと努力がすぐには報われない切なさがあります。全体的なボリュームはそうありませんが、 その儚さに彩られた展開、どうしようもない現実に思い悩み努力する主人公、とシナリオの出来は非常に良いです。


特に早苗ルートに関しては図抜けていますので、最後にプレイしないと非常にまずいことになりますよ。病弱でいつもおとなしくしている彼女、中盤あたりから日常シーンを通して彼女の可愛さをグイグイ高めつつ、後半は死を見据えた悲劇の展開ですからね。

死にゆく彼女を背負い星を観に行くシーンは涙なしには語れない屈指の名シーンですね……。セピア色の回想シーン、紡げない言葉の数々、崩れ落ちる腕のアニメーションなど、演出も随一。星は見れないわ死んでしまうわで早苗ルートのENDはあまりにも救われないためファンの間でも賛否両論で、「美しく綺麗に見せたバッドエンド」といって良いかと。

また、エピローグで祐介のもとに死の直前に打った予約メールが届くというのも切なすぎます。その内容も、祐介との出会いに感謝し、想いを告げ、未来に希望を託す内容。当時のPHSですのでそれがカタカナってのがまた雰囲気出ているんですよね。


ソレデハ マタ アエルト イイネ

とか、ホント勘弁してくださいよ……。



うぅぅ。
これ、祐介は絶対前に進めませんよね……。



次いで若葉ルート、上記した通り彼女は人間ではなく、双葉の契約のもと作られたサボテンの式神です。そんな彼女が祐介を意識しだしていく過程は非常に可愛らしかったですが、最終的に瀕死の祐介を救うために己の精を犠牲にして植物に戻り枯れてしまう展開はやはり切ないものがありました。

みどりルートも時を経た純愛というテーマが好印象です。幼い頃この時代で触れ合った祐介への思いを胸に10年の時を経て未来から再会しに来るという彼女の思いの強さを描くシナリオでした。祐介の部屋にある日転がり込んでくる過去の幼少時のみどりと、祐介、そして現在のみどりが同居しながら物語が進むのがちょっと変わった設定ですよね。

とても切ないこの3ルート、安易な奇跡を描かなかったのは読み手としては苦しくもありますが、シナリオとしてはとても良かった選択でもあると思っています。

ただ、そうは言っても、ですね。早苗に関しては、安易な奇跡でも何でもいいので、シナリオが安っぽくなってしまってもそれでもいいので、とにかく、本当に、救われてほしかった。そう思います。


……それにしても一体どこが「学園ラブコメの決定版」なのでしょう笑。どのルートも憂い要素が印象にあり、むしろ早苗ルートはド級の鬱展開が用意されているものですから、超コメディ路線の日常描写と各ルートのエンディング付近の苦味との落差は一体何なのでしょう。音楽やノリのポップさからすると双葉ルートが一番グリーングリーンっぽいんですけどね。なんとも不思議な作品です。

全体的にはフットワーク重視で、テキスト量など厚みもそこまで無いのですが、こういったギャップの展開と、早苗ルートのラスト近辺が秀逸でしたので、おまけの8点です。



【グラフィック】
原画担当は片倉真二さん。躍動感のあるセルアニメ調の原画スタイルで、一目見て片倉さんだとわかる絵柄です。ただ、今となっては非常に魅力的な構図絵を描く方ですが、まだこのころは画力が全く安定していませんね。パッケージをはじめとした女の子の表情をメインで描く絵は良いのですが、シナリオと連動して多くのキャラを登場させる「バランス勝負」となる一枚絵が多いため、発展途上さが目立ってしまっています。


【キャラクター】
主人公高崎祐介は全般的には可もなく不可もなくの鈍感タイプですが、ここぞというヒロインとの山場では男を見せます。そして、友人である3バカが主人公のまわりでいい味を出していることに加え、彼らの手綱役が主人公という構図がありますので、良い主人公像の印象がありますね。双葉ルートの彼はちょっとあまりにも独りよがりすぎてイマイチですが、若葉ルートと早苗ルートはかなり男らしかった。シナリオに連動して男の株が上げ下げされていた印象です。

悪友3人の中では一番星が好きだったかな。キザで阿呆な立ち回りをする彼ですが、3人の中では最も理性を効かせられるタイプで、主人公の状況を一番察して助言をくれる役回りでした。ルームメイトの天神は、一日の朝と晩に披露される小みどりを交えた謎の漫才が面白かったですね。直情型ゆえの熱さも良かったです。そして4人のリーダーにして一番の変態株であるバッチグーは、何をしてもオチ役にされるおいしいキャラでした。特に、不細工な女生徒と恋に落ちてしまう過程はかわいそうとすら思えましたが、彼女の魅力に向きあう決意をするシーンはそれはそれで熱く、困ったもんです笑。ただまぁ一番星、天神はいいんですが、バッチグーはキモさというかヤバさの方が前面に出てしまっていてちっと敬遠してしまう感じではありました。他、クラスメイトの毒ガスや総長など奇人変人に彩られた独特のノリは作品ならではですね。


ヒロイン勢では、個人的には圧倒的に双葉が好きです。素直に気持ちを表現できない、かなり質の高いツンデレ。ですが、シナリオと連動してしまうと、早苗、若葉あたりにどうしても感情移入してしまいますね。見た目は千種先生なんだけどな。

早苗は他ヒロインルートだと埋もれてしまってパッとしないのですが、彼女のルート上ですとその健気さが非常に染み入る良ヒロインです。それだけに報われないシナリオは切ないですね涙。若葉はなんといっても、人間として恋愛する心を得ていく彼女がとても丁寧に描かれていたのが良かった。最初の印象は最も低いながらもルートを通してグイグイ可愛さをあげていくヒロインです。みどりは痛いところもありますが、小みどりとの絡みも含めてキャラが掘り下げられているのが好印象ですね。


【音楽】
このブランドの特長ですが、音楽に力をいれています。OP「グリーン・グリーン」はタイトルを冠しているようにドタバタラブコメを彷彿とさせるアップテンポな良曲。EDはなんと各ヒロインごとに個別曲があります。メロディ、アレンジ的には早苗テーマの「星空」が抜けていますね。全体的に元気な曲ばかりな中、彼女にあてられた曲がバラードというのが切ないですね。

BGMは、盛り上がりでかかる「OVER DRIVE」は青春爆走といった趣き。それから何気にピアノの良曲が多いのが印象的で、涙を誘う場面に染み入る「ありがとう、そしてさようなら」、悲しげな入りを持つ「サンセット・サンライズ」あたりが特に良かったですかね。



てなわけでグリグリです。
システム的にも絵的にもシナリオ量的にも、まぁ古い作品ではありますけどね。ですがファンを惹きつけていまだ名作とされるだけのパワーが確かにこの作品にはあります。

関連レビュー: グリーングリーン2 ~恋のスペシャルサマー~
関連レビュー: グリーングリーン3 ~ハローグッバイ~



テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

【steins; gate】
steins; gate


↑未プレイの方はコメント非表示絶対です。

メーカー5pb. × Nitro+
シナリオ■■■■■■■■■■ 10
グラフィック■■■■■■■■■□ 9.5
キャラクター■■■■■■■■■■ 10
音楽■■■■■■■■■■ 10
構成力■■■■■■■■■■ 10
総合【神】 99点

SFアドベンチャーの歴史的傑作

こんなにも惹きつけられたゲームは久しぶりです。本当に本当に、本っ当ーーーに、面白かったです!! いや、面白いというよりは「凄い」作品でした。終わった後の余韻がいつまでも残るのは名作の証ですね。正直、「シュタゲ買ってプレイするべきだろ常考」と発売日の自分にDメールを送りたい。

当サイトはエロゲレビューサイトですので、非18禁ゲームは基本載せない方針だったのですが、あまりにも面白かったので紹介したくてですね、気持ちとしてはエキストラ的な位置づけとして掲載をします。どちらかというと「感想」といった立場でライトに書かせてもらいますね。


……と思っていたら超絶長くなってしまいました笑。 暇でお好きな人はどうぞ。


【シナリオ】
舞台は電気と萌えの街、秋葉原。自身を「鳳凰院凶真」を名乗り厨二病からいまだ抜け出せない主人公岡部倫太郎は東京電機大学の一年生。彼は、幼馴染の椎名まゆり、同級生の橋田至とともに「未来ガジェット研究所」なる機器発明サークルを秋葉原の某ビルに間借りして運営しています。

ある日、単位取得のために訪れた講義にて、若干18歳で科学雑誌「サイエンス」に学術論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖と出会います。しかし岡部の脳裏にあるのは、以前同じ講演で何者かに刺され血溜まりに倒れている彼女を発見したという記憶。目の前で紅莉栖が紛れもなく生きている一方、それも決して見間違いなどではなく、すべてが実感を伴って記憶している事実に呆然とする岡部。さらに、その際橋田に送った紅莉栖刺殺の衝撃を綴った携帯メールが、何故か遡ること一週間前、すでに橋田へと着信していたことがわかります。

やがてラボメンバーと紅莉栖は、サークル内で発明した、携帯電話と直結した遠隔操作用電子レンジが原因であることを突き止めます。携帯電話を介して過去へとデータを飛ばしてしまうこの機械は紛れもない「タイムマシン」であり、人類史上初の快挙に浮かれる岡部と困惑する紅莉栖。いくつもの理論と人物と偶然の交錯を経て、タイムリープを検証していく未来ガジェット研究所のメンバーたち。しかしそれはやがて彼らの悲劇を誘引する世界規模での事態へと発展していきます。



と、僕なりにあらすじを書いてみましたが。。。ん~~!あらすじだけでもワクワクします!! やっぱり時間移動SFものはたまらないロマンがありますね。大枠の設定は、SFの大定番となる散々使い古されたタイムトラベルものであり、その設定自体に目新しさは全くありません。ですが個人的には使い古されていようがなんだろうが好きなジャンルですし、なによりそういう王道に乗ったうえでその王道を最高レベルまで昇華しただけのものがこの作品にはあります。 未プレイの方には是非プレイをして頂きたいですね。

シナリオは全11章と、各章で区切られてはいますが、次への大きな伏線や話のダイナミックな展開を章の終わりにもってきます。持ち上げて期待させては落とし絶望させる起伏のつけ方も素晴らしく、止めどころが見つけられず一気にプレイしてしまうシナリオの組み立て方は見事でした。


もう少し突っ込んで書いていきます。タイムリープに関して。この物語の凄い点のひとつに、タイムリープをファンタジーとして扱わなかった点があります。タイムトラベルものは通常、「そういうもの」としてストーリーは進められていきますし、タイムリープの仕組みそのものよりも、それを行うことで生まれるドラマに主眼が置かれますよね。

しかし本作、実在する物理学上の多くの仮説や研究機関を駆使しながら設定を固めている点が本当に素晴らしいと思います。特に、かつて実在(?)した『ジョン・タイター』のエピソードを基幹にして組み立てているシナリオ構造は興奮しますね。ジョン・タイターに関しては是非wikiで調べてみてください。

そりゃテーマがテーマですので細かい矛盾点はありますし、ガチンコで物理学を勉強している人から見たら無理のある解釈も多々あるのかもしれませんが、少なくとも未学習~にわかな層を唸らせるだけの説明はできていると思います。僕は科学者でも何でもありませんので、最高に楽しめました。

もちろん多くの作られた前提設定に助けられている部分も多々あります。とはいえこの前人未到の領域内で、実に多くの理論を紹介しつつ、タイムリープの仕組みや時間移動による世界改変に対して一定の論理を展開し切っているところは本当に恐れ入ります。さらにアキバにある有名な各施設を舞台として「秋葉原の今」を切り取ることで、リアリティは必然的に高くなり、作品の格を底上げしています。



そして本作、ヒューマンドラマとしても非常によくできている点を賞賛したいです。設定とシナリオを見事に両輪であわせもつこのバランス感こそが本作の魅力なのでしょうね。ワクワクさせる展開だとは思っていましたが、中盤における各サブヒロインの章や終盤で、泣ける展開を存分に入れこんでくるシナリオだとは正直思っていませんでした。

通常、過去への送信メール、通称Dメールにより「世界の史実が改変されると、別の世界線に移り、人々の記憶も事実も再構成される」という世界の仕組みの中で、オカリンのみが世界線を越えても何故か記憶を完全に継承し続けるという主人公設定が実にうまく効いています。今いる世界、α世界線のままではどうしても殺されてしまう運命にあるまゆりを救うために、オカリンは次々とタイムリープを重ね、一番最初の世界線であったβ世界線へと確変を行って行くのですが、すなわちそれは周囲のサブヒロインたちがこのα世界で心に刻んだ想い出や願った事実を「なかった」ことにしていくことと同義なんですね。このビターな対比は実に美しくまた切なく、それらの想いをただひとり背負い続け、耐えながら延々と世界線を移動していくオカリンの痛切な心の書き込みは素晴らしいです。



さて、長くなってしまうのを承知で、各ヒロインの章について感想的に書かせてください。

未来ガジェット研究所のメンバーとして次々と仲間を増やしていくオカリンたち。それぞれのヒロインメンバーにはそれぞれの抱える想いや背景があります。

ラボの下の階に店を構えるブラウン管テレビ専門店のバイト阿万音鈴羽。メインヒロイン以外では最も心を揺さぶる章だと思います。彼女はオカリンたちが今いるα世界線の未来から、望まない未来を変えるためにやってきたタイムトラベラーです。その鍵となる「IBN5100」というレトロPCをめぐってのシナリオ展開ですが、実は父親であったダルとの邂逅や、ラボメンバーとの時間作りなど、殺伐とした使命を負っている彼女の束の間のよりどころを無かったことにせざるを得ないオカリンの葛藤の描き込みは見事。

それは、父親と無事会えてラボメンバーと仲良くなる前にその世界線を鈴羽が離れていなければ、PC取得が失敗に終わり、失意のもと自殺をしてしまうというなんとも救われない展開であり、その悔恨で綴られた悲痛な手紙が彼らのもとに送られてくる世界線におけるエピソードは本当に胸が締め付けられるものがありました。


猫耳メイド喫茶の看板店員であるフェイリス。彼女はDメールを活用して父親の死を回避しています。そしてそれを元に戻す、つまり父親の死をあったことにするシナリオです。記憶は再構成されるために父親が生きていたという事実はもちろん無かった事にされるのですが、それだけの史実を作り替える罪の重さとフェイリスへの同情にオカリンが思い悩むこれまた胸が締め付けられる展開でした。そしてこのシナリオ構成は、柳林神社の一人"息子"、漆原るかの章にも使われていますね。どう考えても「男の娘」な自分にコンプレックスを持っていて、Dメールを用いて実際に女の子になっている彼女、いや、彼、いや、彼女。 女の子であるがゆえに素直にオカリンを想うことの出来る気持ちを否定し男に戻す行為に葛藤する様がやはり丁寧に書かれていましたね。展開はトンデモなのに感動してしまうのは何だろう……。

上記3人個別ENDが用意されていまして、要はオカリンが彼女たちの事実を「消さない」決意をすると個別ENDになります。しかしそれはどれも結局まゆり死亡の解決にはなっておらず、BAD ENDと呼んでも差し支えないものでした。どれも凄く綺麗に丁寧に書きこまれていましたけどね。

次章は、桐生萌郁の章になりますが、これはむしろ欧州原子核研究機構、通称SERNの面々の章となりますかね。萌郁には特に個別EDが用意されてはいませんが、SERNの一味でまゆりを躊躇なく殺す役割を担っていた萌郁の背景に強く焦点のあたる展開でした。また、章の後半でわかるラボの大家であるブラウン管販売店の店長がSERNの手先だったという設定や、店長の娘が、未来からタイムリープをして死んだ父親の復讐をしに来る展開は驚愕の連続で、話が派手に動く印象的なルートであったと思います。


そしてオカリンの幼馴染にして最大の理解者である椎名まゆり。この物語最大の目的は「まゆりの死の回避」ですし一見メインヒロインなのですが、準ヒロイン的な位置づけになるかな。メインヒロインは、天才少女牧瀬紅莉栖ですね。

このまゆりルートと紅莉栖ルートは同一テーマになります。α世界線ではまゆりが、そしてβ世界線では紅莉栖が、それぞれ死んでしまうわけなのですが、この究極の選択を前にしてオカリンが強烈に悩み、そして紅莉栖に背中を押される展開が共通していますね。結局はどちらのルートもβ世界線に移動することを選択するため紅莉栖は死んでしまうのですが、そこへの紅莉栖の絡ませ方と描き方が少し違いますね。まゆりルートの、紅莉栖が死んだβ世界線でのふたりの会話も秀逸ですし、一方の紅莉栖ルートでの、タイムリープの瞬間に彼女がオカリンに思いを告げに戻ってくる中、そのままタイムリープを実行するシーンも儚くて良いです。

僕はここの構成展開、つまりオカリンの行動は凄く評価していて、これまでずっと他ヒロインの想いを踏みにじり続けてきた「まゆりを救う」という信念を最後まで貫き通すのですね。たとえそれが愛してしまった少女の死につながるとしてもです。ゆえに、β世界線へ移動する時のオカリンの厨二病丸出しの最終演説は狂おしいほどに痛い。刺さる。ここは、他のキャラがポカーンとしている中、わざとあのダサい台詞を必死に紡いでいるところが本当に泣けるんだよなぁ。

努力と執念の果てに、元のβ世界線に戻る愛してしまった紅莉栖の死を確定させる、というドラマチックな展開は素晴らしすぎますよね。さらにここで物語が終結すると見せかけてエンドロール途中から最終章が始まるのもいい演出ですね。最終章の出来はここまで積み上げてきたすべての伏線や想いを継承しきったものに仕上がっています。

β世界線の未来からダルが完成させたタイムマシンでやってくる鈴羽にはテンション上がりました。しかし、戻り着いたβ世界戦であっても悲劇の結末しか待ってなかったという展開には、「嘘だと言ってよ、バーニィ!!」と思わず叫びました。

そしてβ世界線における15年後の自分から受け取るあまりにも熱いDメール、αでもβでもない新たな世界線「シュタインズゲート」に到達するために、世界を騙し紅莉栖を死から回避させるラスト。もう鳳凰院凶真を心の底から応援しましたよ……! なんという激熱の展開なのでしょうか。


ラストシーンも非常に沁みましたね。当然別世界線での彼女は、α世界線での記憶を持っていないわけですが、α世界線で交わしていたオカリンとの会話が、手のひらにわずかに残った雫のごとくふと口をついてこぼれ落ちる再会のシーンは、心震える本作最大の泣き所ではないでしょうか。アカン、今書きながら涙腺が

最後は「本当に良かった」「無駄なことなど何ひとつなかったんだ」と、切なくも清々しい気持ちで終えることができるかと思います。積み重ねてきた激しい展開の果てにある一雫の"奇跡"を丁寧に描き、静かに物語を閉じる様は、わかりやすい泣きゲーというよりも、心の深いところに染み入る感動といった、非常に質の高い愛おしいラストです。

ドンデン返しに次ぐドンデン返し、胸に迫るオカリンの執念とキャラたちの抱える強い想い、ロマン溢れる切り込んだサイエンスフィクション設定、叫びだしたくなるほどの熱い展開……

いや、もう是非! 是非!! プレイをして下さい!!
それがシュタインズ・ゲートの選択ですっ!



【グラフィック】
最近人気のhukeさんです。無機質な瞳、陶器のような質感、黒と蛍光色を利かせたダウナーでサイケな塗りで存在を主張する独特の絵師さんです。良くも悪くも一目見てこの方の絵だということがわかります。好みはハッキリ分かれそうですけどね。ただ、ビターな展開の多い本作には、萌え系の絵よりもガッチリはまったと思います。

ですからCGはキャラを描くというよりはストーリー上必要になる構図に則って描いたものが多く、個人的にはこういう方が好きですね。そしてTRUEルート最後の一枚絵! シーンの良さもありますが、こんな切ない表情の絵も描けるんですね、鳥肌が止まりませんでした。

システムが実はちょいとばかしイマイチです。フルスクリーン化しないと画面全体ががたついたり、スキップ機能が使えなかったりします。ま、シナリオが良いのであまり気にはなりませんでしたが。

それから用語解説メニューは良かったかな。親切なことに物理学や2ch用語など彼らの発するヲタク発言ひとつひとつに別途解説を設けるのは親切ですし、一般ユーザーも狙った作りでもありますね。逆に言うと、用語解説を設けることで、シナリオ内に無理な説明を入れないで物語が展開していくので非常に読みやすいです。且つ、用語解説があることを前提にして、一般ユーザー向けではないネットスラングなんかもダル君や紅莉栖さん(笑)の口からバンバン出てきますのでいちいち笑ってしまいます。非常に良いテンポが生み出されていますね。


【キャラクター】
非18禁でもありますし、絵柄も「萌え」といったものではない、シナリオも硬派なSFと、幅広い層にアタックする作りになっていながらも、キャラクターには、厨二病、デブヲタ、2ちゃんねらー、男の娘、コスプレ好き、メイド喫茶店員……とアキバ要素全開のキャラばかりです笑。

21世紀初頭のヲタク文化をモロに形取るキャラ設定は、「鮮度」という意味では難ありで、例えば5年後10年後にプレイすると古い作品になっているかもしれませんが、だから故に時代を象徴させる意味でタイムリープものという作品をよく立てていたともいえます。改変により、秋葉原が現在のアキバとは全く違う町様相になってしまうルートがありますが、この異質さは上記キャラ設定が効いているからこそ生きているわけですね。

主人公は岡部倫太郎、最高です。混沌をもたらす狂気のマッドサイエンティスト(笑)を高らかにうたいながら、実際のタイムリープにおいて彼はそういった独善的な存在になりきれないんですね。ひとりの人間として様々なことに葛藤し苦しむ様は非常に痛々しく、またもがきながらも懸命に最善の未来を掴んでいく行動には熱くさせられます。そしてシリアスモードの宮野真守さん演技が最高にうまいですね。要所要所で後悔に暮れる場面や、元の世界線に戻る時の勝利宣言シーン、ラストで紅莉栖を思う言葉など、もう終盤の彼の演技は突き抜けすぎています。

ただ、時折携帯に話しかけるのも何かしらの伏線なんじゃないかと思っていたのは勘繰りすぎでしたか。そこらへんはただの痛い奴だったんですね笑。

ヒロイン勢も全員すばらしいです。中でも圧倒的なのはやはりメインヒロイン牧瀬紅莉栖。ツンデレな天才少女ながら重度の2ちゃんねらーという設定も実に新しい。メンバー間のブレーン役としても、そしてツンデレメインヒロインとしても、めちゃくちゃにかわいく描けています。メインを張るヒロインでここまで魅力的なのも珍しいですね。彼女は超キレ者ですので、どの世界線でもオカリンの置かれている状況を柔軟に察知して、常に力になってくれるんですね。そういった、なんというかな、主人公の彼女というよりも、主人公の相棒、という位置づけなのが素晴らしく映えていました。

次に好きだったのは、絶望的な未来を変えるためにやってきたタイムトラベラー阿万音鈴羽。正直、常識はずれなヲタキャラたちの中では、唯一あけすけなノリで気持ちいい奴だったのが好感持てます。考えといい行動といい、非常にかっこいいですこの子は。ビンテージジャージを着ているのも何か好き。

そしてオカリンの右腕にしてスーパーハカーの変態紳士、ダルこと橋田至。こういうピースとして欠かせない友人キャラは嬉しい限りです。シナリオでもギャグでも遺憾なく存在感を発揮する彼、タイムマシン開発にも、舞台となる世界線の未来における重要度も、そして何よりも超キーパーソンである鈴羽の父親という設定も、何から何までやってくれましたねえ。

他、すべての登場人物がシナリオ上マストな存在として描かれます。無駄な人間がひとりも出てこない。正直もう2,3人いても良かったかな?と思わないでもないですが、これはこれで絶妙なキャラバランスで描かれています。


【音楽】
BGMは比較的無難な印象ですね。メイン画面の「GATE OF STEINER」、泣かせどころの「Believe me」が印象的ですね。そしてニトロ系は常にそうですが、歌曲が 抜けています。特にOP曲「スカイクラッドの観測」「A.R.」の高揚感は特筆すべきものがありますね。ED曲「Another Heaven」もプレイを思い出してグッときますねえ。



以上、「steins; gate」です。ちょっとメモ程度に書くつもりが結局こんなに長くなってしまいました。やっぱり思い入れが強くなるとどうしても長くなってしまうなあ。

さて……、願わくばなるべく多くの方がこのゲームに触れてくれることを。そして、物語の果てに迎える静かで穏やかな感動がその胸に刻まれることを。

エル・プサイ・コングルゥ!

テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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