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【加奈…おかえり!!】
加奈…おかえり!!



メーカーD.O.
シナリオ■■■■■■■■■ 9
グラフィック■■■■■■■ 7
キャラクター■■■■■■■■□ 8.5
音楽■■■■■■■ 7
■■■■■■■■■■ 10
総合【A】 80点

死をエロゲーで描く

D.O.が誇るエロゲ界の殿堂入り、「加奈」です。筑紫哲也の「NEWS23」で取り上げられたことでも話題になりました。とはいっても、これはオタクバッシングのための材料として使われただけではありますが、まぁ数多のゲームの中から選ばれたということで、当時の代表作であると捉えて良いでしょう。

【シナリオ】
あらすじ。主人公藤堂隆道の妹加奈は、慢性腎不全のため幼少時から病院で大半を過ごす毎日。ある事件をきっかけに彼女を守り、幸せを願い続けようと誓う隆道と、そんな生活のため一人も友人がおらず、また皆が当たり前のように通ってきた経験を何ひとつしていない加奈の心の通わせ合いが全てとなるシナリオです。

シナリオは山田一さん即ち田中ロミオさんですね。『家族計画』や『クロスチャンネル』といった非常に優れたシナリオ作品を残しているライターさんです。本作、十時間もあれば終わる比較的ライトな作品ではありますが、「妹の死」というハンパなく重い題材を扱っているため、強い印象を残します。

妹の幸せを願い守り抜くことを誓った主人公の決意や葛藤、家族以外の世界を知らない加奈の寂しさや健気さ、そしてやがて兄妹ながらも惹かれ合ってしまう二人……、特筆すべきは、登場人物の感情の書き込み、ここが非常に優れています。本作、設定がガチに固まっていて、あとはこの2人を完全に中心として話が動くというシンプル構成だということもあるかもしれませんが、彼らの心の動きへのアプローチが非常に鋭いんですね。

死に対するシナリオや狙ったようなセリフのあざとさもなく、実に自然に物語は展開し、読者に様々な感情を投げかけてきます。特に、死期間近の叔母、須磨子さんとの触れ合いや別れを展開に盛り込むルートはその辺の心の機微が非常に巧みで、死に向き合う加奈の感情模様が切ないくらいに丁寧に描かれています。

物語を読み進めるうちに弱っていってしまう加奈と隆道の心の動きがあまりにも見事です。「死」をメインテーマに描いたエロゲーで、本作の右に出るものはないでしょう。


また、隆道の同級生鹿島夕美や、加奈の同級生伊藤勇太、彼女たちを置いて物語は語れません。プレイしている側の僕らは、兄妹で好き合ってしまっている藤堂兄妹に対して大きく感情移入をしながら物語を読んでいます。ですので、隆道や加奈それぞれを想っている夕美や勇太は障害とまでは言いませんが、あくまで僕らにとっては藤堂兄弟が結ばれる過程をお膳立てする盛り上げ役でしかありません。しかし、彼らの立ち位置、考え、行動はすべてごくごく真っ当なものであり、また誠実なものでもあります。むしろ彼女たちの方が正論であるといっても良い。だから彼女たちを意識からはじき切ることができないんですね。うまいですよ、これは。

あと、田中ロミオさんは他の作品でもそうなんですが、エロシーンを必然的に入れてくるところが巧いですね。世間で「泣きゲー」と呼ばれる類のゲームは、正直なところエロシーンがなくても物語が十分成立します。ですが、本作は夕美や加奈とのその手のシーンは物語を進める上で必然的なんですね。加奈と結ばれようが何しようが、物語展開上、夕美との一夜は必須シーンなんです。ここは、ただエロシーンを入れればそれでいいという風潮に対するライターのこだわりのようなものを感じます。

加奈と結ばれるシーンももちろんありますが、まぁソフト倫理機構的にリアルな近親相姦が許されるはずもなく、実際のところは隆道と加奈は義理の兄妹なわけで、関係を持ってしまったとしてもおおよそ問題のないところが少し物語的には勿体ないところではあります。しかし一方で加奈が義理の娘だからこその最終的な両親の決断と葛藤、そして隆道の叫びには心を揺さぶられました。このへんもシナリオの巧みさが光ります。特に父親はかなりいい働きをしますので、是非立ち絵のほしいところでした。

ラストは、隆道がドナーとなり、奇跡的に適合して加奈が助かるものがひとつあり、他いくつかは結局加奈が死んでしまうものですが、実は後者の方が、こんな言い方はしたくないですが…流れとしては妥当ですし、泣きも存分に入ります。他人である隆道の腎臓が適合してしまうのも何だかなぁというのもありますしね。

移植した腎臓がうまく機能せず死に逝くルート、それから、最後の退院暮らしの中ふたりで海へ遊びに行くルートはすばらしい出来です。前者は、加奈が隆道にプレゼントされたペンダントの録音機能に遺書を残しているシーンが、後者では加奈を背負って隆道が海を駆け抜けるシーンと、加奈の残した日記を読んで号泣するシーンが涙なしに見ることができません。


まーしかしこの作品をエロゲーマー初期にやってしまった人はトラウマになりそうだなぁ。僕がプレイしたのはごく最近でしたが、たいしたエロゲ耐性もない十代の頃とかにやっていたら、NEWS23 に出ていたのは僕だったかもしれません笑



【グラフィック】
加奈は、米倉けんごさんが原画を担当した元祖版と、綾風柳晶さんが描いたリメイク版があり、僕がプレイしたのは後者です。安定しない部分もありますが、加奈の一枚絵は魅力的に描けています。

幼少期から高校生に至るまで、病院のベッドでほぼ同じ構図のまま成長していく加奈の一連の絵は、それだけで切なくなってしまいますね…。

あとエロシーンの無駄なアニメーションはいらなかったんじゃないかなぁ。


【キャラクター】
上記したとおり、隆道と加奈が本作の大半でして、この二人の書き込みは非常に素晴らしいものがあります。特に、隆道の兄としての男気や葛藤は素晴らしく、妹を持つ同じ兄として尊敬しなければなりません。田中ロミオさんの描く主人公はいずれも劣らずかっこよいですよね。超人然りとしすぎず人間臭く、クールだけど秘めたものは熱く、ですね。

他、周囲の人間とてもよく描けています。シナリオのところで書いたように、夕実と勇太、両親の関わり方もシナリオ的に自然でした。叔母の須磨子と従妹の香奈のシナリオへの食い込み方や彼女たちの人間的な魅力も印象に残っています。また、看護婦として十年以上も藤堂家に関わっている美樹さんの強さにも心打たれるものがありました。


【音楽】
主題歌の「白い季節」がたまらなく切ないです。歌は加奈の声優さんが加奈っぽさを出して歌っていまして、うまかないですが、曲と歌詞がいい。むしろうまくないところが逆にいい。それから、「あなたへ」は歌つきよりもオルゴールヴァージョンが良いです。シナリオの泣き所で流れますが、泣きシーンでオルゴールはやばいですよ。


以上、加奈でした。
通るべき作品だと思います。翳りと希望を詰め込んだ「考える」作品だと思います。A評価にしたいので、少しオマケで点数付けしときました。田中ロミオさんの作品は、エロゲーという枠を越えて何かしらのメッセージを与えてきますよね。



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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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