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エロゲ レビュー ブログ
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【そして明日の世界より――】
そして明日の世界より――



メーカーetude
シナリオ■■■■■■■■■□ 9.5
グラフィック■■■■■■■■■■ 10
キャラクター■■■■■■■■□ 8.5
音楽■■■■■■■■■□ 9.5
日常■■■■■■■■■■ 10
総合【S】 92点

滅びることのない希望

開始5分で名作の香りがしましたね。温かく流麗なBGM、美しい背景CGとキャラ絵、自転車での夕方の帰り道で次々と現れる、王道ながらもテンポよく紹介されていく登場人物たち。健速さんのテキストもそうですが、etudeの演出の丁寧さ、世界観作りの巧みさにはグッと来させるものがあります。

前評判の高さから期待していましたが、ここまでとは正直思っていませんで、予想の上をいく素晴らしい世界観とシナリオに感動しました。くそったれ、これだからエロゲはやめられねーんだ


【シナリオ】
舞台は都会から離れた静かで美しい島。かつては栄えた島もいまや過疎化が進み、少ない人口で互いを支えあう静かで穏やかな暮らしがそこにはあります。主人公の葦野昴、お隣さんの幼馴染夕陽と姉であり教師の朝陽、級友にして親友の青葉、病弱な転校生御波、それが彼らの形成する学園生活の全てです。

そんな彼らに突如襲いかかる、3ヶ月後に小惑星が衝突し世界が滅びるという揺るぎない事実。小さな社会の中でさしたる混乱が無いながらも事実を受け入れようともがく面々。世界の終末を若くして迎えなければならなくなった彼らは、この小さな世界で何を思うのでしょうか。



以上あらすじですが、しかしこの健速さんという人、閉じた世界での緩やかな時間を描かせたら右に出る者はいませんね。序盤の日常パートなんて本当に世界に引き込まれました。キャラクター同士の信頼関係、会話、優しさ……、文章を越えてにじみ出てくるものがあります。小惑星衝突が政府から発表されOPムービーが差し込まれるまでの導入部分だけでもそれなりの尺が割かれていますが、ここでの学園生活や放課後、家族とのやりとり、抜群の雰囲気です。それだけに終末に突き進むストーリーだというのが勿体無い、とすら感じてしまいました。


小惑星衝突の報道がなされてからの各人の反応や、喧騒とはかけ離れた小さい島における静かな滅びが痛々しくてうまいですね。舞台が別の場所であれば、「SWAN SONG」のように群衆パニックを描かなければならない。もしくは「終末の過ごし方」のように、世界が事実を受け入れた後の話として展開するしかない。そこで舞台をこの小さな島に限定することで必要最小限の混乱に留めたのはうまいところで、だからゆえに身近な人々の内面を丁寧に描くことができたともいえます。


また、昴のみが災害回避の避難シェルターに当選するという事実が、物語を深くします。日常シーンは綺麗に流れていくのですが、毎日同じような雰囲気の繰り返しであることは否めず、ともすれば飽きられがちな日常を重ねていくことに対して、ダレるギリギリの線でこの件を入れ込み昴の思考を動かすのは良いタイミングだったといえます。

前日、彼の独白で、「普段ならば気にならないものに目がいくようになった。俺の生活は関わりのある人たちなしには成り立たない」と、ひとつの到達を得る直後のことだったのがまたうまい。助かったところで彼が何よりも大切にしていた人たちとの別れは必至ですが、一方で生きたいと願う自分、そして両親の強い思いがのしかかります。


昴に全幅の信頼を寄せるお子様系天才型幼馴染、日向夕陽ルート。シェルター行きを夕陽のためにあきらめる昴と、逆にそれにより昴の死を自分のせいで確実なものにするジレンマが夕陽を強く葛藤させます。ラスト、これまで夕陽のためにすべてを行動していた昴が、自分のわがままを告げるシーン、つまり自分のために行動してほしいと夕陽に懇願するパラドックス的なシーンは実に熱かった。これは「遥かに仰ぎ麗しの」などでも見られる健速さんの得意パターンですね。それまで行動的だった主人公がラストでヒロイン側の力を得るという逆転手法です。

これ、姉の日向朝陽ルートも同じ構図を山場で使うんですよね。つまり朝陽も夕陽を守ることに固執して、彼女の意思を汲み取りきれていなかったことですね。3人が3人を愛して思いを注ぐことで、その各々の行動が双方向になっていないというあまりにも優しすぎる間違い、このあたりは綺麗でしたよ。しかし彼女のラストは、朝陽夕陽昴の3人END、昴が関係云々抜きにしてふたりの笑顔を守り続けることを誓うENDですが、下世話な言い方をすればハーレムEND的な感じでして、良かったのでしょうか笑。


そして、このメインヒロイン姉妹よりも、シナリオ的にもキャラクター的にも、クラスメイトの青葉、御波の方が立っています。キャラデザもこの二人の方が断然かわいいですし。

快活で昴の相棒として描かれる樹青葉ルート、実は嫉妬もするし怯えもするヒロインの中では最も女の子らしい本性を持っています。滅亡発覚を機に本当の自分が浮き彫りになるという展開としてはまぁ王道なのですが、とにかくキャラと青山ゆかりさんの演技がはまっているため、とても魅力的に描かれます。キャラ絵も一番好きだな。髪を下したヴァージョンが用意されてるところもグッジョブ! ただモロにヤンデレ化して本来の自分を表現しだした時はどうしようかと思いましたが笑、そこは昴君しっかりと押さえてくれましたね。ラスト付近の本当の自分を表現できるようになった青葉は本当にかわいくてたまらんです。


療養のために島に引っ越してきた転校生水守御波ルート、病弱キャラではあるのですが、彼女はしおらしすぎず、意外と表情豊かでちょいちょいウィットに富んだ余裕を見せる部分がキャラを立てていますね。また彼女は常に病気による死と隣り合わせの生活をしているだけに、唯一終末を抵抗なく受け入れることのできる精神を持っています。しかし昴をはじめとした大切な日常を手に入れ、皆と同じ「普通」を手にすることで初めて現実に怯えてしまうところからが本ルートの肝でしょう。本ルートは4ルートの中でもっとも美しく綺麗に言葉が紡がれていくルートだったと思います。特にラストの星空を眺めながらの昴との会話は引き込まれました。


そしてノーマルルート、これは昴がどのヒロインも選ばなかった時のENDであり、通常BADとなりそうなものですが、最も美しい大団円ルートです。ヒロインこそ選びませんが、だからゆえに平等に各ヒロインが昴に対して優しさを注ぐルートとなり、感動的なエピソードが随所に散りばめられています。このルートで鬼のごとく活躍を見せるのが、山頂で昴とともに温泉を掘っている八島のじいちゃん。御波のキリスト聖書の授業のくだりを受けて、昴にこの世の滅びなどありえないことを諭すシーンは見事でしたね。そして父親の竜と灯台で自己の存在を語るシーン、ここの会話もまた実に熱い。日向姉妹の父親である陽おじさんも共通パートでかなり熱いセリフを吐きますし、こういった大人が絡む泣きのシーンはずるいですねえ。


今だから言うのですが、僕はそれほど健速さんのテキスト好きじゃなかったんですよ。世界観作りと温かさが秀逸というのは共感できるんですが、ギャグのキレはありませんし、シナリオも、なんというかな……綺麗すぎて面白みに欠ける部分が確かにあって、世間的に評価を決定づけている「遥かに仰ぎ、麗しの」でも僕は丸谷さんサイドの話の方が好きですし、「こなたよりかなたまで」もシナリオは今ひとつだと思っていました。しかし本作、そんな彼の手がけた作品では間違いなく最高レベルのテキストであり、終末というテーマを置いたことで、彼の世界観とキャラの内面が圧倒的な輝きを放ちました。これまでの僕の評価を覆しましたね、嬉しい誤算です。


このTRUEと呼ぶべきノーマルルートも、終末までは描かれず、昴の決意と周囲の思いを浮き彫りにして優しさをもって物語は閉じます。

これから始まるのは俺たちの小さな世界に訪れた二週間ばかりの例外の物語、その言葉で始まる本作品、なるほどその通りでした。彼らが日常を見失ってから悩み行動し、その結果改めて変わらない日常を過ごすことを決意するまで、それだけの二週間が描かれている小さな小さな作品です。




いやー、ええ話やった

そう思い僕は余韻に浸るためにEXTRAのALBUMを開きました。あれ??コンプできていないじゃないか。そう思いおもむろにSTARTを押してみると、「After」なる文字が出ているではないですか!

それは世界の滅亡から30年後の話でした。荒涼とした地上で、わずかに生き残った人類が見つけたのは、終末のわずか前に島の皆で温泉を堀り当てた際の集合写真……。

視点を昴ではなく生き残った誰かである「俺」に移したのも上手かった。生き残りながらも世界の現状に絶望を抱えている彼が、死の縁まで笑顔で過ごした日常があったことに希望を見出す瞬間。

泣きましたね。ここは泣きました。思いは残る、そして世界は終わらない、八島のじいちゃんが諭し、昴が継承したその思いが30年の時を経て希望の活路を拓く素晴らしい閉じ方でした。



【グラフィック】
な、なんですか、この素晴らしい原画家さんは!! 

植田亮さんというのですね、本作ではじめて彼の絵に触れました。髪まわりの造形がどう見ても変というのはさておき、透明感のある絵と温かくて豊かな表情、瞳の力、キャラを生かす構図、ハンパではない魅力を放っています。一気に惚れ込んでしまいました。更にそれに呼応するかのような背景の美麗さ。そして背景にも植田さんが関わっているという驚き。うーむ、素晴らしい絵師さんや背景スタッフを立てているみたいですね、etudeは。絵色や艶が魅せる世界観づくりがすさまじいです。これは原画家買いするユーザーも多数いるのではないでしょうか。


てか、ひとつ言いたいんですけど、昴の母ちゃんのキャラデザかわいすぎないすか? 最初攻略できるのかと思っちまいましたよ。


【キャラクター】
主人公よりもヒロインたちよりもまずここを言及させて下さい、それは主人公たちの親です。父性、母性。この極限下においてこれほどまでに美しく頼りあるものとして描けているのは素晴らしいですね。昴の両親である竜と海、そして朝陽夕陽の父親である陽、まったく違うタイプの3人ではありますが、彼らの親としての行動の数々は本当にグッときますね。子を思う暖かい目線とセリフの数々、泣かせられましたよ僕は。

主人公は葦野昴、健速さんの描く主人公としては比較的男らしいキャラで好感が持てます。ヒロイン勢では、大人しいながらも表情がよくまわる御波が断トツにかわいいですね。でも個人的に一番好きなのは快活な努力っ子青葉。昴のために女の自分を抑えている様は切なくもいじらしいです。メイン格の日向姉妹は、昴を立てるためのヒロイン像としての側面が強かったかな。ここはちょいと惜しい。

しかし彼女たちと昴の信頼関係の描き方は本当に感情移入しましたね。僕の拙いレビューを見てくださっている方には僕の好みの傾向がわかるかもしれませんが、僕は主人公、ヒロイン以外の脇役をけっこう重要視します。特に男性キャラの活躍を求めたい傾向があり、メインキャラ群にはいい働きをする男性友人キャラがいてほしい、とよく思います。しかし本作、はじめてそういう思いを抱かなかった。男ひとり対ヒロイン群という構図がここまで綺麗にはまった世界構築というのは珍しいケースかと。


余談。青葉ですが、青髪のスポーツ少女が若干ヤンデレしてしまうところは「君が望む永遠」の水月を彷彿とさせませした。


【音楽】
また音楽が素晴らしいんです。ピアノ、ストリングス、管楽器を中心に置いた、きれいな旋律のBGMが多いですね。穏やかなシーンにも、刹那的なシーンにも実によく合っています。特に、「Happiness」これがいい。ピアノのみの旋律からシンセを入れたリピートに流れる展開が素晴らしい良曲。泣きシーンで使われる「はてなき想い」、OPをアレンジした「星空を見上げて」がまたいいですね。そしてなにげない会話の中に現れてくる「アメージング・グレース」、これ自体が決め所のBGMになるというのにもやられましたね。

OPは「For our days」、雲の切れ間に光が差すような、頭に残る名曲ですね。またEDは各キャラずつに用意されているという丁寧な仕事ぶり。綺麗な佳曲揃いといったところでしょうか。


以上あすせかでした。2007年を代表する作品ですね。終末ゲーではありますが、だからこその日常ゲー最高峰の称号を与えたいと思います。



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テーマ:美少女ゲーム - ジャンル:ゲーム

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